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本の紹介「ドードーをめぐる堂々めぐり」

「ドードーをめぐる堂々めぐり 正保四年に消えた絶滅鳥を追って」川端裕人著、岩波書店、2021年11月、ISBN978-4-00-061497-5、2700円+税


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【萩野哲 20220426】【公開用】
●「ドードーをめぐる堂々めぐり」川端裕人著、岩波書店

 1598年に発見され、1662年には絶滅していたドードー。この間、生きたドードーが日本に来ていた事実を知った著者がその行方を探求するうちにハマッた堂々めぐりのお話し。出島にドードーがやってきたのは1646年、日本が鎖国してまだ7年、ポルトガル船が封鎖されて大騒動(長崎有事)の最中だったためかほとんど記録が残っていない。欧州ではオランダ、チェコ、デンマークおよび英国を巡ってドードーの絵画、標本などを精査し、それらの成果を大量の図版に反映した。モーリシャス島では調査隊に参加し、ドードーの生息地を実感する。大変な労作である。今はここまでだが、著者は今後も見据えている。

 お薦め度:★★★★  対象:ドードーファンおよび絶滅とは何かを考えてみたい人
【西本由佳 20220430】
●「ドードーをめぐる堂々めぐり」川端裕人著、岩波書店

 生きものが絶滅するということが知られていなかった時代がある。本書はそんな時代に発見され、科学というよりは見せ物として各地にわたったドードーの足跡をたどる。文書記録や絵画に残るドードーは正確なものとは限らない。「不思議の国のアリス」に出てくるドードーは太った滑稽な鳥として描かれているが、最近の復元画のドードーはもっとスマートで精悍だ。実物を、それも本来の生息地で見た人が少ないなか、文書記録や数少ない標本からドードーの実態に迫ろうとする調査がつづられている。

 お薦め度:★★★  対象:アリスのドードーを知っているなら知りたい人
【六車恭子 20220617】
●「ドードーをめぐる堂々めぐり」川端裕人著、岩波書店

 ドードーの知名度は高い。なんと絵文字まである。そしてドードーといえば「絶滅」。モーリシャス島に暮らしていたドードーは、1598年にオランダ人に「発見」されて後100年も経たずに絶滅してしまった。そんなドードーが1647年、東インド会社の商船に乗って生きて来日していたという。400年の時を行き来しながら、ヨーロッパやモーリシャス島を巡りながら、ドードーをめぐる堂々めぐりが始まる。古文書をひもとき、標本を眺め、歴史を調べる。ダグラス・アダムスが世界中の絶滅危惧動物に会いに行く『これが見納め』(2011年、みすず書房)に出てきたモモイロバト(1970年代に20羽まで減ってしまった)が、保護区で元気に繁殖しているくだりにはグッときてしまった。絶滅種をめぐる堂々めぐりは、ちょっと切ない。

 お薦め度:★★★★  対象:生き物好きならだれでも
【森住奈穂 20220505】
●「ドードーをめぐる堂々めぐり」川端裕人著、岩波書店

 ドードーの知名度は高い。なんと絵文字まである。そしてドードーといえば「絶滅」。モーリシャス島に暮らしていたドードーは、1598年にオランダ人に「発見」されて後100年も経たずに絶滅してしまった。そんなドードーが1647年、東インド会社の商船に乗って生きて来日していたという。400年の時を行き来しながら、ヨーロッパやモーリシャス島を巡りながら、ドードーをめぐる堂々めぐりが始まる。古文書をひもとき、標本を眺め、歴史を調べる。ダグラス・アダムスが世界中の絶滅危惧動物に会いに行く『これが見納め』(2011年、みすず書房)に出てきたモモイロバト(1970年代に20羽まで減ってしまった)が、保護区で元気に繁殖しているくだりにはグッときてしまった。絶滅種をめぐる堂々めぐりは、ちょっと切ない。

 お薦め度:★★★  対象:その蔵にドードーが眠っているかもしれません。うちにはお宝なんてないわと思っているひと知りたい人
【和田岳 20220617】
●「ドードーをめぐる堂々めぐり」川端裕人著、岩波書店

 1647年、鎖国をはじめて間もない日本に、生きたドードーが連れてこられていた。それを知った著者は、そのドードーが日本でどうなったかを調べ始める。時は、出島にポルトガル船がやってきて、周辺の大名が臨戦態勢をとった“長崎有事”の真っ只中。はたして日本に到着したドードーはどうなったのか?
 著者は、生物関係の著作も多いサイエンスライターにして、小説家。それだけに文章は読みやすいし、構成もしっかりしている。第1章で長崎有事の真っ只中に連れてこられたドードーの行方を探索。第2章ではヨーロッパのドードー標本をめぐる。最後の第3章では,モーリシャスに出かけてドードーの骨の発掘隊に加わる。
 ドードーに限らず、17世紀頃、オランダ経由で、世界からさまざまな動物が日本に持ち込まれたこと。現在残っているドードー標本は、(後に発掘された骨を除くと)数点しか残っていないこと。ドードーという鳥の本当の姿、分類についてもいろいろ判る。ドードーって実在したなぁ、と初めて実感したかも。

 お薦め度:★★★  対象:ドードー、ああ絶滅した巨大な飛べない鳥ね、くらいの認識の人 知りたい人
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