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本の紹介「動物の起源論」

「動物の起源論 多細胞体制への道」西村三郎著、中公新書、1983年3月、ISBN4-12-100685-2、438円+税


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【六車恭子 20050223】
●「動物の起源論」西村三郎著、中公新書

 動物の起源をめぐって、単細胞生物から多細胞体制を獲得していった道筋は進化の過程で消えていった中間的形態は学究の想像力で補われて検証されてきた。ここではヘッケルのベン毛虫類から発生したというガストレア説が王道とみなされる通説に、今では忘れ去られたせん毛虫類のハッジ説を浮上させて印象深く論じている。
 西村説は思い入れたっぷりに傍系を甦らせる。そこには生き物から学び、ひとり立つ思考の過程と喜びが披瀝されているのだ。小冊子ながら学ぶ楽しみに満ちた動物の起源をめぐる古くて新しい迷宮へ誘う一冊。

 お薦め度:★★★★  対象:思考の道筋を楽しみたい人に

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