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本の紹介「ちんちん千鳥のなく声は」

「ちんちん千鳥のなく声は 日本人が聴いた鳥の声」山口仲美著、大修館書店、1989年4月、ISBN4-469-22067-1、1602円+税


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【加納康嗣 20070117】
●「ちんちん千鳥のなく声は」山口仲美著、大修館書店

 この本は日本語特にその擬音語、擬態語研究の第一人者による日本語文化史、動物文化史である。擬音語・擬態語を抜くと日本語が成り立たないと言われるほどその数が多い。現代語でも英語の3倍、1200種にも及び、まさに日本語の「名脇役」である。この2冊では動物の鳴き声、擬音語の歴史的な変遷をたどりながら、日本人の自然との接し方やものの見方、考え方、生活の有り様を語っている。スズメ、チドリ、ウグイス、ホトトギス、ガンなど多くの鳥や動物たちの名前は、その鳴き声に由来することが明らかにされ、昔の人は意外な聴きなしをしていたことが解る。私の関心事は、コホロ、ホロロ、キリリなど奈良時代にあった擬音である。これがコオロギやキリギリスの語源ではないかという勘ぐりであるが、これも後者の本からヒントを得たことはありがたかった。

 お薦め度:★★★★  対象:動物文化史に関心のある方

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