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本の紹介「地球温暖化の予測は「正しい」か?」

「地球温暖化の予測は「正しい」か? 不確かな未来に科学が挑む」江守正多著、化学同人、2008年11月、ISBN978-4-7598-1320-3、1700円+税


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【中条武司 20100903】【公開用】
●「地球温暖化の予測は「正しい」か?」江守正多著、化学同人

 「100年後には地球の温度は■度上がると予想されます」・・・この数年ニュースなどでよく聞く台詞です。さて、この予測ってどうやって立てられているの?
 よくある温暖化に否定的な本を見ると、地球温暖化って一部の研究者の恣意的な部分が強いのでは、なんて思ったことがあるかもしれません。
 この本は気候変動予測に用いられているパラメータにそのような恣意的な要素が入り込む余地はほとんどないと主張します。具体的にどのようなデータが入力されてデータが導き出されているのか、どの部分がモデルごとの差異を生み出すのか、などなどコンピューターシミュレーションでの気候変動予測のやり方について丁寧に説明されています。全体にもう一押し書いてほしい、という感が否めませんが、温暖化を肯定するも否定するも、ニュース報道に振り回されないためにも読んだ方がいい本かもしれません。

 お薦め度:★★★  対象:温暖化予測ってどういうものか知りたい人

【和田岳 20100625】
●「地球温暖化の予測は「正しい」か?」江守正多著、化学同人

 著者は、国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長。つまり、日本におけるシミュレーションによる地球温暖化予測の中心的人物。この本では、地球温暖化の予測が正しいかという議論ではなく、どのようなモデルによって地球温暖化が予測されたのかが解説される。地球温暖化に興味があるなら、何を根拠に語られているかを知るためにも、一読しておいてはどうだろう。
 ただ、研究者たる著者が、一般向けにわかりやすく書こうとしているのは、よくわかるのだが、やはり多くの人にはモデルの説明はけっこう難しいのではないかと思う。ある程度、モデルに予備知識がある人に、ちょうどいい易しさの解説かもしれない。

 お薦め度:★★★  対象:どんな根拠で地球温暖化が予測されているのか興味ある人、及び”地球温暖化はウソである”的な本を読んで、なるほどと思った人

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