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本の紹介「地球学へのいざない」

「地球は火山がつくった 地球科学入門」鎌田浩毅著、岩波ジュニア新書、2004年4月、ISBN4-00-500467-9、780円+税


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【魚住敏治 20040816】【公開用】
●「地球は火山がつくった」鎌田浩毅著、岩波ジュニア新書

 まず火山活動が起こっている現場の迫力に圧倒され、つぎに火山の噴火の仕方の違いの理由や、噴火そのものが起こる仕組みが簡単なことに驚かされつつ、なんとなく火山そのものが理解出来たような気になります。
 その後言及されるプレート・テクトニクス、さらには、プリューム・テクトニクスによって今度は、地球の出来方さえ分かるのでは、と思いつつ一気に読み終えてしまいます。
 その後ふと「でも現実の噴火予測はそんなにうまくいってるのかな」なんて事を考え、もっと火山、地球の事を知らなくてはと思わせてくれます。

 お薦め度:★★★  対象:火山の入門書を捜している方

【中条武司 20040812】
●「地球は火山がつくった」鎌田浩毅著、岩波ジュニア新書

 火山噴火の体験、火山の噴火の仕組みやタイプ、そして火山からわかる大陸形成の話やプリュームテクトニクスまで、火山という視点から地球を語った本。伊豆大島の噴火の体験談は臨場感にあふれ、火山噴火に大きく水が関与する話や、少しの違いで火山噴火のタイプが異なるなど、私たちが火山について疑問に思うもしくは考えもしない部分をわかりやすく丁寧に書かれている。全体に文章が平易なであるため、プリュームテクトニクスって話には聞くけど何、という人にはいいであろう。
 もっとも、プレートおよびプリュームテクトニクスは、著者の研究の範疇でないせいか、どうも平面的な説明になりがちな嫌いがあるし、むりやり火山の話にこじつけている部分も見受けられる。特にプレートの説明はわからない人が読んだらきっと混乱する。

 お薦め度:★★★  対象:火山と地球のしくみについて知りたい人。中学生でも読めるかな

【西村寿雄 20040621】
●「地球は火山がつくった」鎌田浩毅著、岩波ジュニア新書

 著者の火山体験から、噴火のしくみ、噴火のすがた、動く大地の話から、新しい地球の見方へと話が続く。〈火山〉を柱にした壮大な〈動いている地球〉物語である。火山灰の研究から巨大噴火のなぞを解き明かす話も壮大である。
 最後に著者は、この本での多くの説は〈作業仮説〉であると断った上で、「おもしろい問題が将来を待っている。それを解き明かすのは、読者の若い皆さんである」とこれからの研究者に夢を語る。文章はとてもわかり易く、用語の説明もていねいである。

 お薦め度:★★★★  対象:中学生以上

【西村寿雄 20040508】
●「地球は火山がつくった」鎌田浩毅著、岩波ジュニア新書

 久々にわくわくする火山の本が出た。内容は、著者の火山体験から、噴火のしくみ、噴火のすがた、動く大地の話から、新しい地球の見方へと話が続く。〈火山〉を柱にした壮大な〈動いている地球〉物語である。
 〈はしがき〉で著者は、火山が気に入った理由として「火山の噴火は簡単な理屈によって説明することができる」をあげている。その中身が何か注意して読んでいく。
 1986年の三原山噴火での著者の実体験から火山の〈ドラマ〉は始まる。その後、火山噴火の根源的な話に入っていく。途中で「火山現象の多くは密度によって支配されている」「水が大事なカギとなる」と説く。さまざまな事例から、水が火山噴火に決定的な影響を及ぼしていることがわかってくる。そのことを浅間山の噴火からていねいに検証する。
 火山灰の研究から巨大噴火のなぞを解き明かす話も壮大である。
 そして、いよいよ火山噴火がどうして起こるのかの原理的な話に入る。ここでも〈水〉が重要な要素として登場する。その後、〈プルーム・テクトニクス〉という根源的な理論で地球内部の運動や大陸移動説まで解き明かしていく。
 最後に著者は、この本での多くの説は〈作業仮説〉であると断った上で、「おもしろい問題が将来を待っている。それを解き明かすのは、読者の若い皆さんである」と未来の科学研究に大きな夢をいだかせている。各文章はとてもわかり易く、用語の説明もていねいである。著者の熱い想いが伝わってくる。

 お薦め度:★★★★  対象:中学生以上

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