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本の紹介「チバニアン誕生」

「チバニアン誕生」岡田誠著、ポプラ社、2021年6月、ISBN978-4-591-17034-2、1500円+税


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【ケンタロウ 20211217】【公開用】
●「チバニアン誕生」岡田誠著、ポプラ社

 この本は、千葉県市原市の地層「千葉セクション」がGSSPに決定して新たな地質年代名「チバニアン」が誕生するまでのいきさつや地磁気の逆転現象、これまでの地質学の研究の歴史などが、イラストと文章とでわかりやすく説明されています。また、岡田教授が研究者になるまでの生い立ちもおもしろく書かれています。この本の読みかたガイドに、まず目次を見て興味があるところから読み始める方法が載っているので、どんどん先に読み進めてしまいます。また、コラムのはじまりに各章のポイントを紹介、本マークのある用語は、各章の最後でくわしく解説しているのでわかりやすいです。ぼくは、中学生ですがこの本を読んで、さらに科学や地学に興味を持ちました。ぜひ、読んでみてください。

 お薦め度:★★★★  対象:チバニアンに興味ある人
【冨永則子 20210809】
●「チバニアン誕生」岡田誠著、ポプラ社

 2020年1月、チバニアンという時代が誕生した。日本の地名が地球の歴史に初めて刻まれたのだ。どのようにして、千葉県市原市に地味な崖が地球の歴史に、その名を刻むことになったのか…。国際社会と渡り合う研究の在り方や研究者としての道程を記すことで、この歴史的な出来事の経緯を語っていく。チバニアンがいったいどれほどのものなのか、いまいちピンとこないが、研究者として、科学者として研究対象に如何に向き合うかという有り様は理解できる。子ども向けの読み物になっているので、研究者というものに視点が置かれている。地球の磁場が逆転した事実は当時の生き物にどう影響し、今の私たちの暮らしにどう反映しているのだろうか? 地場の逆転について、もっと詳しく知りたいと思った。

 お薦め度:★★★  対象:直接人間の生活に関わらない自然を研究対象にした学問に興味のある人に
【中条武司 20211216】
●「チバニアン誕生」岡田誠著、ポプラ社

 日本の地名を冠した時代名がはじめて名付けられた。その「チバニアン」の申請チーム代表であった著者が、房総半島養老川沿いに露出している変哲もない泥の地層がなぜ世界に認められる地層となったのか、他候補だったイタリアとの申請レースの様子をやさしく解説する。学会昼休みの雑談から千葉セクションを研究することになったこと、そして申請レースに関わる紆余曲折などもおもしろい。また、著者がなぜ研究を志して、どのようにチバニアンに関わるようになったのかも書かれているので、研究者を目指す人にも参考になるだろう。
 ところで、国際的な時代境界としてチバニアンが認定されたので、ゴールデンスパイク(時代の境界を表すその名の通り金色の杭)がそう遠くないうちに露頭に打ち込まれることになるだろう。打ち込まれたら千葉まで見に行かなくちゃ。

 お薦め度:★★★  対象:中学生以上の地学好きなら
【西村寿雄 20210819】
●「チバニアン誕生」岡田誠著、ポプラ社

 約77万年前、千葉県にある地層がチバニアンとして地質学界の「国際年代層序表」に掲載されるまでのいきさつがくわしく書かれている。著者の岡田誠さんは、その時の論文作成にかかわった人である。チバニアンが有名になった一つの根拠は「地磁気逆転」の痕跡が明瞭に記録されていることにある。もともと、地球は磁場を帯びている。その磁場が逆転した時代を千葉県の地層は記録していた。この本は地層の話ではあるが、地磁気や残留磁気の話はこれだけで理解できるか疑問ではあるが、子どもにも読みやすく書かれている。

 お薦め度:★★★  対象:地層の成り立ちに興味ある小学生から
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