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本の紹介「文化が違えば、心も違う?」

「文化が違えば、心も違う? 文化心理学の冒険」北山忍著、岩波新書、2025年8月、ISBN978-4-00-432078-4、940円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。

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【犬伏麻美子 20260626】
●「文化が違えば、心も違う?」北山忍著、岩波新書

 「文化が違えば、どうして心も違うのか?」という問いかけに文化心理学者の筆者は、わかりやすい言葉で説明、アフリカ、アジア、アメリカ、ヨーロッパといった地域での最新の研究をもとに、また歴史的背景をふまえつつ文化の起源と発展を進化的視点から読み解き、文化が人々の感情や価値観をどのように形づくるのか事例も交えながら紹介している。
 文化心理学とは、人と人をつなぐ「知の架け橋」としての役割を担っていて、人間の多様な心のあり方を考える学問であるらしい。 ぜひ、文化とは何かを考えてみましょう。

  お薦め度:★★★  対象:「文化とは何か」を考えている方たちへ
【森住奈穂 20260626】
●「文化が違えば、心も違う?」北山忍著、岩波新書

 文化心理学とは、心の性質が文化によって異なるという点を、データによって示す学問とのこと。文化が違えば心の性質に違いが生じる。そうした多様性を理解し、そこから普遍性を見出すことは、分断を乗り越えて共通の未来を築くための鍵になると著者はいう。違いを理解することの大切さはよく分かるのだけど、全体を通して用語が難しい。ケニアの運転手の言葉、「兄弟とは絶対仕事を一緒にしない。彼は油断できない競争相手で俺の仲間だから」は自己促進的協調。なんのこっちゃ。
 部族集団内での競争を日本の受験戦争に置き換えるという説明はわかりやすいのだけれど、その他、最初から最後までずーっと難しかった。日米の感情の文化差、中東・北アフリカの自己主張的協調が戦国侍の名誉の概念に通じるなど、面白いところも少しだけあった。

  お薦め度:★★  対象:文化心理学について興味のあるひと
【和田岳 20260703】
●「文化が違えば、心も違う?」北山忍著、岩波新書

 ケニアのタクシードライバー曰く「兄弟は競争相手、だって仲間だから」。確かに日本人とは考え方が違う。従来心理学は、ヒトは普遍的な心を持っていると考え、文化によって行動が違うのは規範が違うからと考えてきた。しかし文化によってヒトの心はそもそも違うと考えるのが文化心理学。出だしはとても面白そうだった。
 個人主義のアメリカにおける他者への親切の意味など、さまざまな興味深い事例が登場する。ボブ・ディランの曲の歌詞「Let others do for you」は確かに日本人にはあまり思いつかない発想。事例は面白いのだけど、その解釈では、ろくに説明されない専門用語が駆使され、論文調の文章とあいまってとても理解しにくい。
 結局は、独立的で個人主義的な西洋文化と、協調的で集団主義的な東洋文化という、ありきたりな対立軸が登場。世界のさまざまな文化は、両者の軸の中に配置される。
 タイトル通り、文化が違えば、心も違う。という点は納得できた。しかし、どうして違うのか、どのように違うのかに関してはモヤモヤして終わる。

  お薦め度:★  対象:研究者の分かりにくい文章を物ともせず、説明されない専門用語は別途自分で調べてでも、文化心理学について知りたい人
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