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本の紹介「歩くサナギ、うんちの繭」
「歩くサナギ、うんちの繭」篠原かをり著、大和書房、2025年3月、ISBN978-4-479-39445-7、1600円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【里井敬 20251218】【公開用】
●「歩くサナギ、うんちの繭」篠原かをり著、大和書房
変態には不完全変態と完全変態があるが、途中でサナギを経る完全変態をする昆虫は、幼虫と成虫では形も食性も大きく変わる。獲得した移動能力は、異性を探し遺伝子の多様性を維持しやすい可能性がある。食性が異なるのは、幼虫と成虫で食べ物を奪いあわないメリットがある。ただ例外はある。完全変態をするテントウムシは幼虫も成虫も同じようにアブラムシを食べる。農薬として飛ばないナミテントウを品種改良して「テントップ」という商品名で販売されている。サナギは動かないイメージだが、カのサナギのオニボウフラは泳ぎまわるし、オオムラサキのサナギは大暴れする。体内では大きな変化が起こっている。
写真もリアルな線画もないので、オオゴマダラの黄金のサナギや、うんちをかつぐキノコバエのうんちで作ったサナギの為の土手など、興味をもったものを調べてみると楽しい。
お薦め度:★★★ 対象:虫が苦手な人→昆虫が好きになる?かも
【西村寿雄 20251217】
●「歩くサナギ、うんちの繭」篠原かをり著、大和書房
昆虫類は「変態」という成長過程を通り過ぎることはよく知られている。昆虫は卵−幼虫−さなぎの時期を経て成虫と変化する。これは昆虫類の特徴としてごく一般に認識されている。著者はその昆虫類の変態を「謎だらけの魅惑の世界」という。この本に取り上げられているのはその魅惑の世界の数々。昆虫の世界が「驚くべき世界に満ちている」ことが各所で紹介されている。著者の豊富な経験を交えて虫の世界が語られている。文章は平易で小学生高学年なら読んで楽しめる。
お薦め度:★★★ 対象:昆虫好き子どもから
【萩野哲 20251213】
●「歩くサナギ、うんちの繭」篠原かをり著、大和書房
昆虫の変態をテーマにした本である。ひと通りのことはわかっていても、変態の詳細を理解することは難しい。著者は、昆虫の幼虫を歩く消化器、成虫を飛ぶ生殖器と表現し、変態を主に繁殖のためのフォルムチェンジと定義する。変態にも様々な段階があり、無変態→不完全変態→完全変態のほか、幼虫の間に段階を経る過変態がある。変態は、利用する資源を変えることで、種内の競争緩和にも役立っていたともいえる。完全変態の中で、蛹は実に不思議な段階だ。中がどうなっているのか、本書では一部最近の成果が紹介されているが、幼虫から成虫へのあまりにも極端な変化がついていけない。後半は著者が選んだ20種類の変態の実例。著者は今も学生している様子。昆虫の好感度を目指しているらしいので、頑張ってね。
お薦め度:★★★ 対象:変態の不思議に出会いたい人
【和田岳 20251219】
●「歩くサナギ、うんちの繭」篠原かをり著、大和書房
大学院生でありタレント活動もしている著者が、サナギを中心に変態という切り口で、昆虫の面白さを伝えようとした一冊。
第1章は、さまざまな角度から変態を紹介する。脱皮と変態の違い。完全変態、不完全変態、無変態、過変態。成虫と幼虫の食性の違い。サナギの中で起きていること。幼虫から成虫へ変態しても記憶は引き継がれるか。サナギのコミュニケーション、鳴き声、動き。
第2章は、20の変態の話題。美しいオオゴマダラのサナギ。泳ぐカのサナギ、暴れるオオムラサキのサナギ。女王バチと働きバチを分けるもの。カブトムシの角ができるタイミング。ミルクを出すアリのサナギ、光るホタルのサナギ。カマキリモドキの歩くサナギ、キノコバエのうんちの繭。
お薦め度:★★★ 対象:昆虫のサナギや変態に興味がある人
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