大和川水系調査グループ:水質班+++++++++++++++++

ニュースレター No.6

++++++++++++++++++++++++++++2004年4月27日


 ブレーンである益田晴恵先生が私たちを見捨てて(冗談です)長期出張に行ってしまいました.よって事後の集会はありませんが,採水はしっかりやります.5月末の採水も合わせてあと2回の採水でいったん終了です.気を引き締めて採水に望みましょう.(中条)


今後の

◎5月22日(土)〜30日(日):第7回採水

 温度も上がり,いきものの動きも一番活発な時期です.採水すると共に,まわりの自然も見渡してみましょう.

 事後の集会は行いませんので,採集した水と記録カードは機会を見つけて博物館まで持ってきていただくか,郵送していただくようお願いします.


◎8月21日(土)〜29日(日):第8回採水(予定)

 真夏の採水でもあり,全体では最後の採水です.暑いので日射病などかからぬように注意しながら採水しましょう.



 水質班としてはこの春〜夏は,採水以外に特に予定はありませんが,博物館や博物館友の会の行事がたくさんあります.ぜひご参加ください.

 また,水質班としては秋から冬にかけてデータ整理の会を何回か行う予定にしています.ニュースレターなどでご連絡しますので,その際にはご参加くださるようお願いします.


第6回採水フィールドデータ(PDF:30KB)
(2004年2月21日〜29日)

 採水も2シーズン目に入り,データが充実してきました(別紙).前年の同じ時期のデータとはどのように違うでしょうか.ぜひ比べてください.


分析データ(第1回および第2回分)

  1回目(2002年11月)・2回目(2003年2月)の分析データがまとまってきましたので,硝酸イオン,リン酸イオン,硫酸イオン,塩化物イオンについて実際のデータとわかりやすい様に図示したものを紹介します.第2回目の分析データ(PDF:22KB)は別紙にあります.第1回目のデータ(PDF:22KB)および各分析項目の意味はニュースレターNo.3に示していますので,そちらをご覧ください.

【硝酸イオン】硝酸イオンは一般に農業用肥料に含まれていることが知られています.2002年11月の結果では大阪側の大和川本流で全域に渡り3〜4ppm程度検出されました.また大和川支流では,東除川で10ppm前後と比較的高い濃度で検出されました.旧大和川水系に属する長瀬川で最も高く18ppm検出されました.そして,奈良県側では竜田川上流で10ppm程度を示す他は,濃度は5ppm以下で検出されました.2003年2月の結果では,高い濃度で検出される箇所は11月と似ていますが,全体に検出箇所数が増え,個々の濃度が高くなっています.東除川においては16〜17ppm検出されました.最も高い濃度を示したのは11月と同じく長瀬川で,濃度は20ppm検出されました.

 東除川と長瀬川の周囲には住宅・工場が多く,農地が少ないことから,これらの硝酸イオンは農地以外からの供給が考えられます.

【リン酸イオン】リン酸イオンは,合成洗剤中に含まれており,生活排水の中から検出される事が多い成分です.現在では,リン酸が入っていない洗剤も徐々に普及しており,その流出濃度は低くなってきていますが,し尿処理排水にも含まれるために,人為的汚染を示す指標ともなってます.11月の調査では検出されない個所が全採水地点の半数ほどあり,検出されても濃度は低くそれほど河川水を汚染はしていないと思われます.しかし,2月の結果では検出個所数も増え,特に高田川上流で10ppmを上回る濃度が検出されました.

【硫酸イオン】硫酸イオンは,一般に石油・石炭の燃焼から発生する硫酸塩が雨に溶けこみ,地上や河川へと流れ込むもの,あるいは工場や家庭排水に含まれ,河川へ流れ込むものがあります.11月の結果では多くの個所で検出されており,各濃度も比較的高くなっています.濃度は周辺に工場が多く分布する旧大和川水系の平野川の100ppmが最大となっています.また奈良県側では検出個所数も大阪よりも少なく,それぞれの濃度もそれ程高くはありませんでした.2月の結果もこれと同様に平野川及び長瀬川といった工場地帯での濃度が目立って高くなっています.これらの結果から,硫酸イオンは工場や家庭からの排水が主な原因になっていると思われます.

【塩化物イオン】塩化物イオンは生活排水中に尿や汗として含まれることもあり,人為的汚染状況を示す目安となることがあります.海からも人口密集地からも遠い奈良県側の上流部には,検出されないところもありました.2003年2月には,東除川下流部で300ppm程度の比較的高い濃度が検出されました.奈良県側は11月よりも検出個所は少なくなり,それぞれの濃度も低くなることがわかりました.      (K.E.)


第7回採水に向けて:採水時の注意

 これまでの採水を終えて多かった質問・間違い・注意事項を紹介します.マニュアルとこれまでのニュースレターもあわせて読んで下さい.

調査キットの不足や破損は遠慮なく申し出てください

 第7回採水を前に消耗品の量を必ず確認してください.採水期間が始まってから,足りないと申し出てこられる方が少なからずおられます.不在の場合もありますので,すぐにお渡しできない場合もあります.また,連絡を受けてから消耗品をお送りしても,最低2-3日はかかります.必ず事前に消耗品の残り量を確認して,早めに博物館までご連絡下さい.5/9の普及講演会「モクズガニの一生」(最終ページ参照)に参加される方はその際にもお渡しできます.必ず事前にご確認を!

サンプル番号はできるだけ通し番号を付けてください

 今回も試料の通し番号を付けています.5桁の試料番号で,第7回目なら頭が7,次の1000・100の位が川の番号(ニュースレターNo.1参照),10・1の位が各地点番号になっています.別紙のフィールドデータを参照してください.

 次回は10000の位が7からはじまるサンプル番号になります.こちらの整理の都合上,できるだけこの番号を試料に付けていただくようお願いします.

 分からない場合は,最初の通り,日付・名前・番号でかまいません.

水は100ml ちゃんと採る!

 水はちゃんと100ml 採ってください.量が少なければ分析できない項目があります.50ml の注射器なら2回,20ml の注射器なら5回,フィルターを変えて,ちゃんと濾して採水してください.

採水はあと2回です!!

 「採水はいつまでするの?」というご質問をたびたび受けました.事務局で相談して,採水は今年の8月分の採水(第8回採水)まで行う事にしました.つまりちょうど2年分のデータが集まる事になります.今回も含めてあと3回の採水ですので,みなさんのご協力をお願いします.その後は,再来年度予定の特別展に向けて,分析やデータの整理を行います.みんなでできる分析やデータ整理,分析の成果報告などの際にはお声をかけますので,ご参加ください.また,8月以降に水質班としてこんなことをやりたいなどの意見がありましたら,事務局までお寄せください.

大和川水系調査グループ情報

大和川水系調査:他の班からのお願い

 各調査班に所属していなくても,大和川に関する情報を募集しています.採水の時にこんなの見つけた,こんなの捕まえたという方は,ご一報下さい.詳しくはニュースレターNo.3をご覧下さい.

博物館・友の会行事もチェック!

 大和川にちなんだ行事を,博物館および博物館友の会では多く企画しています.調査ではないので,気楽に行事に申し込み・参加してください.大和川周辺の自然をいろいろ知ることが出来ます.タイトルには大和川・・・と銘打っていないものもあります.

 5月から6月には以下の行事が行われます.詳しくは博物館ホームページ,Nature Studyなどをご覧下さい.申込みが必要な行事は必ず別途申し込みをしてください.


講演会「モクズガニの一生」(申込不要)

 モクズガニは海と川との間の長い流程を往復して生涯を終える回遊性の変わったカニです.昔から「カワガニ」などと呼ばれて食用にされてきました.海や川の汚染や水辺の改変が進んだ現在,モクズガニの環境も大きく変わってきていることでしょう.博物館の大和川水系調査グループでは,今年から大和川のモクズガニの調査をはじめるところです.この機会に,専門家をお招きして,モクズガニの興味深い生態と生活史について,講演をしていただきます.興味のある方はぜひご参加ください.

 日時:5月9日(日)  午後1時〜3時

 講師:小林 哲 氏(日本ベントス学会会員,農学博士)

「東生駒」(申込み要)

 生駒山地の北東の丘陵地帯で,田んぼやため池など里山の自然を観察します.大和川の支流,富雄川の上流域です.

 日時:5月16日(日) 終日    申込締切:5月1日(土)


「大和川を歩く:1.福住から初瀬」(申込み要)

 大和川は奈良県天理市〜桜井市の山間部から奈良盆地を経て,大阪湾に流れ込みます.大和川源流部から河口までを,その流れに沿って春から秋の5回に分けて歩き,大和川の自然と環境について考えます.第1回目は奈良県天理市福住から桜井市初瀬周辺までを歩いて,山あいを流れる大和川上流部を見てみましょう.今回は約13kmの行程です.

 日時:5月30日(日) 終日    申込締切:5月15日(土)


「大和川を歩く:2.初瀬から川西」(申込み要)

 大和川を歩くの2回目は奈良県桜井市初瀬から川西町までを歩きます.山間から奈良盆地に流れる初瀬川(大和川)の変化を見てみましょう.川沿いを歩くのできつい上り下りはありませんが,約15kmの行程です.

 日時:6月13日(日) 終日    申込締切:5月29日(土)


博物館友の会:月例ハイキング「大和川上流のゲンジボタル」(申込不要)

 汚い川として有名な大和川.でも,その上流部にはゲンジボタルがたくさん生息しています.そのようすを観察しましょう.

 日時:6月20日(日) 雨天中止


「スッポン・ナマズ・モクズガニ」(申込み要)

 石川沿いに歩き,水の中にも入って,水中のいきものを探します.運がよければ,スッポンやナマズやモクズガニに出会えるかも.

 日時:6月27日(日) 終日    申込締切:6月12日(土)



プロジェクトY成果発表会を開催!

 2004年2月8日(日)にプロジェクトY(大和川水系調査グループ)全体の成果発表会が自然史博物館講堂で行われました.2003年の成果を各調査班が発表する中,わが水質班ももちろん発表しました.他の班が学芸員が発表する中で,水質班のみが若手のメンバー二人による発表でした.中身がもっとも充実していた(?)だけでなく,その点でも目立っていました.また,全体を通じて活発な議論が行われ,みなさんの関心の深さを感じることができました.また今年度末にも開催する予定ですので,そのときにはご案内いたします.


大阪自然史フェスティバルにも出展

 2004年3月20・21日に,自然史博物館で大阪自然史フェスティバルが開催されました.プロジェクトY(大和川水系調査グループ)も出展し,各班の活動や成果の一部を紹介しました.でも,もっと多くのデータを出してくれるものと思っていたとの厳しいご意見も・・・・.ともあれ,新しくプロジェクトYに加わっていただいた方もあり(水質班ではありませんが),いろいろご質問もいただきました.


自然史フェスティバルでのプロジェクトYの発表ポスター


【編集後記】採水も残すところあと2回となりました.みなさん気を緩めずに最後までやりとげしょう.また,大和川に関係した博物館や博物館友の会行事もたくさんあります.ふるってご参加ください.(中条)

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大和川水系調査グループ:水質班ニュースレターNo.6

〒546-0034 大阪市東住吉区長居公園1-23 大阪市立自然史博物館

Tel:06-6697-6221 Fax:06-6697-6225

担当:中条武司(第四紀研究室)

E-mail:nakajo@omnh.jp

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