大和川水系調査グループ:水質班+++++++++++++++++

ニュースレター No.2

++++++++++++++++++++++++++++2003年5月2日


 大和川水系調査の生物編もついにはじまり,他の生物班にも参加している人は大忙しだと思います.今月の終わりには第3回目の採水です.水も温かくなって,川はどのようになっているでしょうか.周りの自然もゆっくり見ながら,水を採ってみましょう.(中条)

今後の

◎5月24日(土)〜6月1日(日):第3回採水
 早くも第3回目の採水です.水も温かくなって,秋〜冬と比べて透明度などに変化が現れているかもしれません.
 第2回採水では天候などの都合で採水できなかった方も,今回は必ず採水できるようにがんばりましょう.

◎6月1日(日):「水の話2:水質汚染のメカニズム」
 水質汚染の原因と拡大のメカニズムについてお話をします.
 講師:益田晴恵氏(大阪市立大学)
 場所:大阪市立自然史博物館 集会室
    自然史博物館へは職員通用口(博物館南側)からお入り下さい.
 時間:13時30分〜15時頃まで予定
 その他:この行事に参加される方は,このときに採水した水や記録カードを提出してください.不足している消耗品もお渡しします.

◎8月16日(土)〜24日(日)(予定):第4回採水
 一年で一番暑い時期の採水です.水温は場所によってどのような違いがあるでしょうか.

第2回採水フィールドデータ(PDF:27KB)
(2003月2月22日〜3月2日)

 前回の採水期間は,2週連続で土・日曜日の天気が悪く,採水に苦労された方も多かったようです.どうしても採水できなかったり,採水期間外に採水された方もおられます.
 空きスペースがある方が結構いますが,その方は記録カードに何も書かれていない方です.記録カードの記載事項は必ず埋めるようにしてください.

行事の報告

「滴定をやってみよう」(2003年3月2日:大阪市立大学)
 大和川の上流,中流,下流の水ので,アルカリ度の定量,カルシウム,マグネシウムの定量分析を行いました.また各自のサンプルで陰イオンの定量も行いました.

滴定では,5つの班に分かれて行いました.色の変化する終点がわかりにく苦戦されている方もおられましたが,幼稚園児からお年寄りまで年令層の広い方が参加されて,和やかな雰囲気でした.5班ともすべて同じサンプルで滴定しているはずなのに,数値にバラつきがあり,分析する人のくせなどが影響するのも分析の難しいところだと思います.(S.N.)





3月2日の行事の様子.子どもから大人まで真剣に滴定をやっています.

 このときに分析した,アルカリ度,カルシウム,マグネシウムの分析方法を以下に示します.どんなことをやったか覚えていますか?

【アルカリ度】

 水試料50mlをホールピペットまたはメスシリンダーで正確に分取し,300ml三角フラスコにいれる.BCG-MR指示薬を2〜3滴加える.ビュレットを用いて0.02M HClを水試料が灰紫色になるまで滴下する.下の計算式を用いてアルカリ度を求める(aは滴下量(ml)).

Alk (mmol/l) = 0.02×a×20


【カルシウムとマグネシウム】

 水試料50mlをホールピペットまたはメスシリンダーを用いて正確に分取し,300ml三角フラスコに入れる.水試料にシアン化カリウム10%溶液と塩酸ヒドロキシルアミン10%溶液を0.5mlずつ加える.カルシウムの定量を行う場合には,8M水酸化ナトリウム溶液4mlを加えてpHを13に調整し,HNB粉末指示薬をひとつまみ加える.カルシウムとマグネシウムの合量を分析する場合には,pH10の緩衝液を2ml加えてpHを10に調整し,EBT指示薬を加える.ビュレットを用いて0.01M EDTA溶液を滴下する.両方とも,赤色から青色に変色したところが終点である.

 カルシウムの量は次の計算式を用いて求める.(b(ml)は滴定量)

  Ca mmol/l = b×0.01×20

 マグネシウム量はカルシウムとマグネシウムの合量からカルシウム量をひいて求める.すなわち,カルシウムとマグネシウムの合量を求めるための滴定量をc mlとして,上式のbに(c-b)を代入する.



● 4月29日に,水質班のうち特に分析に興味のある人が集まって,2月採水分のアルカリ度,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウムの分析を行いました.アルカリ度は滴定で,それ以外は原子吸光分析で行いました.昨年11月採水分は少人数で行ったため,分析にすごく時間がかかりましたが,10人以上ですると,1日で上記の分析が終わってしまいました.

第3回採水に向けて:採水時の注意
 これまで2回採水をして,みなさんも慣れてきた事と思います.でも油断は禁物.気を引き締めて採水しましょう.第1回・第2回目の採水を終えて多かった質問・間違い・注意事項を紹介します.マニュアルとニュースレターNo.1もあわせて読んで下さい.

サンプル番号はできるだけ通し番号を付けてください

 今回も試料の通し番号を付けています.5桁の試料番号で,第2回目だから頭が2,次の1000・100の位が川の番号(ニュースレターNo.1参照),10・1の位が各地点番号になっています.

 次回は10000の位が3からはじまるサンプル番号になります.こちおらの整理の都合上,できるだけこの番号を試料に付けていただくようお願いします.

 分からない場合は,最初の通り,日付・名前・番号でかまいません.

記載事項の抜け落ちをしないように注意!

 第2回目の採水は,慣れてきたせいもあってか,記録カードへの記載漏れがけっこうありました.特に多かったのは何mlの注射器でフィルターを濾したかが抜けているものです.場所は同じでも状況は毎回違います.ちゃんと記載事項は埋めましょう.

フィルターホルダー・注射器の破損に注意!

 採水の時,フィルター(濾紙)を挟んでいるフィルターホルダーと注射器のつなげる部分を折る方が多くおられました(実は私もなんですが・・・).注射器から水を押し出す時に,ポリ瓶を下に置いて上から押し込んだり,ひねったり斜めに向けたら確実に折れます.注意して注射器を押しましょう.それでも破損した場合は代わりをお渡ししますので,遠慮なく申し出てください.

調査キットの不足や破損は遠慮なく申し出てください

 第3回採水を前に残りの消耗品の量を確認してください.足らない場合はお送りしますので遠慮なく申し出てください.ただし,ポリ瓶は現在分析中のものが空きしだい,洗浄してお送りしますので,しばらくお待ち下さい.

 ポリ瓶の不足を聞いている方も忘れているわけではありませんのでご安心を.

採水は100ml ちゃんと採る!

 前回も言いましたが,採水はちゃんと100ml 採ってください.量が少なければ分析できない項目があります.50ml の注射器なら2回,20ml の注射器なら5回,フィルターを変えて,ちゃんと濾して採水してください.特に5月・8月の採水では,これまで50ml の注射器で濾せていたのが,ダメになったりするかもしれませんが,ちゃんと100ml 採りましょう.

大和川水系調査:生物編もスタート!

大和川調査:生物編もスタート!
 水質班参加の方も多く参加されたと思いますが,4月27日(日)に生物編の説明会が行われました.水質を含め13の調査班が企画されています.説明会の資料はまだありますので,欲しい方は中条まで.各班の詳しい情報は担当学芸員に問い合わせ下さい.

 ・「ホタル」(昆虫研究室・初宿(しやけ))

 ・「河川敷の甲虫」(昆虫研究室・初宿(しやけ))

 ・「トンボ・水生カメムシ」(昆虫研究室・金沢)

 ・「その他の水生昆虫など」(昆虫研究室・金沢)

 ・「カブトエビ」(動物研究室・山西)

 ・「河口域のベントス」(動物研究室・山西)

 ・「サワガニ・モクズガニ」(動物研究室・山西)

 ・「貝」(第四紀研究室・石井久夫)

 ・「哺乳類」(動物研究室・和田)

 ・「両生爬虫類」(動物研究室・和田)

 ・「鳥」(動物研究室・和田)

 できるだけ各班の進行状況はお知らせし,冬季には成果発表会なども行う予定です.

その他の情報

大和川調査:生物編もスタートします!
 水質調査の開始時から「生物調査もします」と言ってきましたが,ようやく始動の予感.4月頃から活動予定ですが,詳細はまだ未定です.詳細が固まり次第案内しますので,しばらくお待ち下さい.
 何度も言ってますが,この水質調査と生物調査はいっしょにやっていけるので,生物調査が始まったからといって水質調査の方をやめないでくださいね.

大和川水系調査:貝班からのお願い
 採水の時に貝を見つけたら,採集してください.採集地点と日時をきちんと記入して,水と一緒に届けてください.カワニナ類・タニシ類などの巻貝,シジミ類・イシガイ科などの二枚貝が期待されます.よろしくお願いします.
 貝だけでなく,両生爬虫類や鳥,哺乳類の観察記録などもお願いします.詳しくはそれぞれ上記担当者まで.

博物館・友の会行事もチェック!
 5〜7月では以下の行事が行われます.詳しくは博物館ホームページ,Nature Studyなどをご覧下さい.
 5月18日(日) 友の会月例ハイキング「与喜山暖温帯林」(申し込み不要)
  大和川の上流(初瀬川),長谷寺周辺に広がる社寺林での自然観察です.
 6月29日(日) テーマ別自然観察会「大和川河口の魚」(申し込み要)
  大和川河口の汽水域の魚を調べます.投網も打てる!?
 7月6日(日) 地域自然誌シリーズ「天見」(申し込み要)
  石川の上流,河内長野市天見周辺の自然と人の暮らしの関わりを考えます.


【編集後記】4月下旬発行予定が5月までずれ込んで申し訳ありません.早くも今月末には3回目の採水です.忘れずにお願いします.次回ニュースレターは7月下旬〜8月上旬に発行予定です.

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