近頃の自然史博物館

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1998年12月

1998/12/31
 今年は12月28日が仕事納めでした。基本的に年末年始は唯一、博物館に警備員以外の職員がいません(ほかは休館日でも誰かが出勤しています)。はずなんですけど、学芸員は入れ替わりやってきます。29日と30日は3人、今日は2人。下手をすると通常の土日と変わらないかも。
 と言っても人があまりいなくて寂しいので、ラジオを大きな音でならしながら、鳥の標識をしたり、皮を剥いたりしています。この2-3日暖房が効いていないので、館内はとても寒いです。


1998/12/14
 大阪市立自然史博物館の増築と情報センターの建設の工事が始まっています。ちょっと前から囲いを作って、中の樹や建物を取り除いています。博物館の南側の樹はほとんどなくなって、とても見晴らしがよくなりました。大きなクスノキがたくさんあったけど、みんな切られるか移植されるかしてしまいました。おかげで南側の部屋がとても暖かい。
 前館長の宮武さんが、セミの調査を続けていたフィールドはなくなりました。あんな所まで樹を切らなくても良さそうに思うのですが。とりあえず何にもない更地をたくさんつくってからでないと、実際の建設には取りかからないのかな?

1998/12/13
 11月27日に書いたとてもいいことが解禁になりました。大阪市立自然史博物館の新しい学芸員が公募されます。分野は、昆虫研究室の膜翅類担当学芸員と、第四紀研究室の堆積学担当学芸員です。公募書類は12日に発送されましたので、関係機関には近日中に届くと思います。もし応募する気があるのに所属に公募書類がない場合は、自然史博物館まで問い合わせて下さい。
 堆積学ってゆうのが何なのかは、何度も説明してもらったけどいまだによくわかっていません。とくに環境地質学との違いがどうも。膜翅類はよくわかるし、とても楽しみです。個人的には分類ができて生態もわかる人が来て欲しい。それからハチやアリを持っていけば、たちどころに名前を教えてもらえるようになればいいな。

1998/12/10
 今月のNature Studyに、一時期朝日新聞で話題になった(みんなもう忘れてしまってるかな?)孔子鳥の記事が載っています。孔子鳥問題で苦労した那須館長が書いてるのですが、締め切りに追い立てられて慌てて書いたせいか、とってもわかりにくい。でもよく読めば何となく分かるかも。そのうちにほとんど同じ文が、当館ホームページにも登場します。乞うご期待。読んでもわからなかったら、monitor@omnh.jpまで質問して下さい。
 そうそうこの孔子鳥問題が最初に新聞に載ったときに、このページで書いて、公式見解発表まで一時差し止めになった文を公開しておきます。読んだらわかるけど、大したことは書いてないんですね。とっても敏感になってたってことかな。

1998/12/9
 今日は年に一度の研究室の床の掃除です。でも朝一番に研究室の荷物を放り出したら、あとはする事がない。部屋に入れないからコンピューターを使っての仕事もできない。というわけで、午前中は学芸ゼミで午後は会議でした。
 会議では、来年度の普及行事の日程と担当者を決めました。直前に予定変更とかもあるので、部外秘ですので、あしからず。行事数をざっと数えると、植物園案内・自然史講座の年間各12回をぬいて、35もある。これに友の会の月例ハイクその他の行事(まだ決まってないけど年間16かな?)をあわせると、ぜんぶで約75。何にも行事がない日曜は年間で7回くらい。という結果になりました。5-7月は毎日曜にフィールドに出ることになりそうです。その下見もあるし・・・。

1998/12/7
 展示室の動物研究室担当部分の掃除をしました。日常的な掃除は、べつに掃除担当の職員がいるのですが、展示物自体やケース内の掃除は学芸員が分担して行なうことになっています。動物研究室担当部分は、ホールのヘラジカ、第1展示室の家の中・哺乳類・わんど・干潟、第3展示室の東半分の壁物・クジラの骨、2階ギャラリーのカニ・貝・アカウミガメってとこです。展示ケース内はそうそう汚れないので、年に一度しか掃除をしません。
 ホールのヘラジカは柔らかい刷毛でほこりをはらいます。毎回ちょっとずつ毛が抜けて、そのうちハゲチョロケになりそうで心配。剥製が入ってるとこにはナフタリンを補充して、ガラスを内側から拭いて、目立ったゴミを掃除機で吸う。一番嫌なのは、第4展示室の哺乳類の骨のとこ。骨にぶつかりそうになるし、上からつってるテブスにひっかかるしで、無理な姿勢でガラスを拭く羽目になります。今度の展示更新では、掃除のしやすい展示を作ろう。と、去年もぼやいてるなあ。

 明後日、各研究室の大掃除があります。あちこちの研究室で、廊下の片づけが始まっています。去年も書いたけど、まず廊下を片づけないと、研究室の物が放り出せないからです。こちらも生物実験室に広げて放ったらかしにしてある鳥の仮剥製を片づけました。と言っても燻蒸箱に入れただけやけど。8月から9月にかけて熱心に皮を剥いた大物達は、乾燥させてると称してずっと生物実験室に広げてありました。一部で不評だったらしい。

 最近この秋にもらった鳥の死体をまとめて受け入れて、現在冷凍庫に眠っている仮剥製用の鳥の死体の数を数えました。採集データがあるものだけでも、107体。冷凍庫は満杯です。おかしい、夏にあんなに皮を剥いたのに・・・。一日2-3体ずつ皮を剥いても、1ヶ月では終わらない。12月と1月は今年も皮剥き強化月間になりそうです。 
1998/12/6
 ついに大阪市立自然史博物館メーリングリストomnhがスタートしました。とくに根拠なく、あんまり少ないと淋しいからというだけの理由で、参加者が50人になったらスタート、と宣言したものだから、とってもスタートまで時間がかかってしまいました。募集開始から25日。ようやくスタートにこぎつけました。
 でもまだスタートしたってだけで、どんなメーリングリストになるのやら、見当もつきません。いろんな話題で盛り上がればいいな。意外と博物館関係者も多く参加してるんですね。よその博物館ではあんまりやってないらしい。
1998/12/4
 ワルナスビさんから次のようなメールをいただきました(本人の了解の元掲載します)。

 11月30日の午後2時10分に、長居公園西南隅近くにある喫茶店の裏のイチョウの木で、大きな鳥がハトを捕まえるのを見ました。黄葉したイチョウの葉の茂る枝の間で、ガサガサと暴れる物音がし、そのすぐ後に、ハトの3倍くらい大きな鳥が灰色のハトをワシ掴み?にして、ゆっくりと斜めに落ちるように?地面におりました。
 トビにしてはちょっと小さいかな? タカにしてはやけに焦げ茶色だな? という感じですが、降りるときに翼を広げたので、鳥だと思います。(私が飼っていたたくさんの猫の中に、木にとまっている鳥を捕るのがすごく上手なやつがいて、そいつのハンティングをよく見ていたので、猫の動きではないと思います)
 ハトを鷲掴みしてたからワシ、というわけにはいきませんが、どんな鳥か見当がつきますか?

 見当は簡単につきますね。冬の長居公園でドバトを食べる、ましてやつかんで飛ぶ鳥と言えば、オオタカしかいません。毎冬、長居公園に1-2羽生息していて、もっぱらドバトを食べているようです。ワルナスビさんの情報は、長居公園JustNow!に採用させていただきます。
 そういえば、最近電話で質問をもらって、「長居公園北東隅の児童公園でスズメの中に1羽だけ変な鳥が混ざっている。頭はオレンジから黄色で胴は緑。大きさはスズメくらい。色はインコみたいだけれど、嘴は違う。何という鳥でしょう。」というんですけど。何という鳥でしょう? 何度も問題の児童公園を見に行ってるのですが、謎の鳥には出会いません。もしこの謎の鳥の正体に心当たりがある方がいたら、お知らせ下さい。


1998年11月

1998/11/28
 朝日放送の探偵ナイトスクープには、当館の学芸員がよく登場します。いつだったか樽野学芸員が出演して、小枝とジャンケンして勝って、ゾウの化石をGETしたのを覚えてるでしょうか?
 あのシンシュウゾウの化石が、来年1月3日に放送される総集編で「アカデミー大賞 主演動物賞」というのをもらったそうです。すでに収録は終わって賞状は地史研究室においてあるそうです。そのうちに賞状と一緒に化石を展示したいと思います。やっぱり放映後でしょうね。樽野学芸員も出演して、再び化石をかけて小枝とジャンケンすればおもしろかったのに・・・。わかってると思いますが、1月3日までは内緒ですので。


1998/11/27
 徹夜明けでとても眠いです。眠くてとても仕事にならないので、今日は休みにしました。今日は眠そうな学芸員がたくさんウロウロしてます。でも一応、館に来て仕事をしてます。
 徹夜をした甲斐があって、とてもいいことがありました。まさかうまく行くとは思わなかった。うまく行き過ぎでちょっと恐い。どんなことがあったのかはまだ内緒です。12月半ばには公開できるかと思います。

1998/11/16
 大阪市立自然史博物館のメーリングリストを立ち上げることになりました。すでに友の会の会報Nature Studyに登録者募集の案内が載り、HPでも登録者を募集しています。募集開始が11月10日ごろ。この1週間のうちに、23名の登録がありました。でも全員友の会の会員です。
 このメーリングリストは友の会の会員に限らず、生物や地学関係、あるいは博物館や学芸員関係に興味を持っている人に広く参加して欲しいと思っています。とにかくくわしくは、こちらを見て、ぜひ参加登録をして下さい。知り合いに興味を持ちそうな人がいたら、紹介してあげてくださいね。と、熱心に勧誘するのは、登録者数が50名を越えたらメーリングリストをスタートなどと宣言してしまったからです。これで50人集まらなかったらとっても間抜け。めざせあと27名。

1998/11/15
 今日は一日、泉佐野漁港で友の会の秋のつどい。漁船2隻に網を引いてきてもらって、漁獲物をながめて、説明を聞いて、味見をするという行事。魚介類の名前もわからず、料理もできないので、昨日に引き続きグッズ販売が担当です。今日もミニミニラスターバッジは絶好調、50個近く売れました。グッズ販売と同時にカモメの観察というのも担当で望遠鏡も持っていったのですが、ろくにカモメ類がいないので、観察はしませんでした。でも行事が終わって掃除の時に、魚の切れっ端が捨てられるとたくさんユリカモメとウミネコがやってきました。最初から魚をまいてカモメを集めれば良かった。
 それにしても参加者が約400名弱。味見程度とは言え魚をさばいて料理するのは大変でした。ってゆうか大変そうでした。グッズ売場は朝一以外は比較的暇。昼前にはカワハギの皮ぎにかり出されました。料理担当のみなさまお疲れさまでした。
 そうそう問題の「おさかな天国」のCDは手に入りませんでしたが、スタッフとして参加の河上さんがジャスコ(?)かどこかで、直談判してダビングしてきてくれました。おかげで一日”さかなさかなさかなー”を聞く羽目に。

1998/11/14
 中之島公園で生涯学習フェスティバルというのがあって、自然史博物館、ってゆうか友の会も出店しました。午前と午後にそれぞれ1回、ビルの石材と街路樹のミニ観察会もありました。あとは友の会のビラをまいて、グッズの販売。
 まわりの屋台ではただで配布しているものが多かったせいか、それともみんなあまり自然史関係に興味がないのか、あんまり売れませんでした。けっこうよく売れたのは、ミニミニラスターバッジ(31個だっけ?)と鳥の絵はがき。
 閑古鳥は鳴いてるは、寒いわで、なおった風邪がまたぶり返しそう。明日もまた、泉佐野でグッズ販売。明日はみんな自然史に興味を持ってるはずやから、もっと売れるかな? みんな食べるのに忙しくて、それどころやないかもしれんけど・・・。

1998/11/13
 博物館実習で、川村コレクションの整理を手伝ってもらいました。1994年から整理を初めて、足掛け5年、のべ10日をかけて(つまり年に2回の博物館実習の時にそれぞれ1日ずつ)ようやく整理が終わりました。ばんざーい。後はもう少し手を加えて、収蔵資料目録を作れば一段落。
 鳥の大きなコレクションは他にないので、来年から博物館実習ですることがない。標本のデータベース作成でも手伝ってもらおうかな?

1998/11/12
 今週末の行事の準備が盛り上がってきました。昨日から始まった博物館実習の学生を使って、日曜の行事の参加章がわりのミニミニラスターバッジ作り。何と360個ほど。土曜に中之島で売るためのミニミニラスターバッジも作らなあかんし。
 とりあえず日曜に向けて持っていくグッズをそろえたら、山のようになっています。全部売れればいいけど、売れ残ったら持って帰って来なあかん。「おさかな天国」のCDはまだ見つからない。もうあきらめるのかな?

1998/11/11
 今週末は、土曜は中之島で生涯学習フェスティバルとやら。日曜は泉佐野で、友の会の秋のつどい。両方にかり出されて、どちらでも友の会のグッズなどを販売をする係りになっています。
 泉佐野での秋のつどいは、漁船が網で穫ってきたものを、みんなで眺めたり味見したりというもの。魚やカニが主役です。主担者は、この行事のテーマソングに「おさかな天国」(スーパーなんかでかかっている”さかなさかなさかなー”ってやつ)を使いたがっていますが、CDが見つかりません。市販していなくって、東京からの取り寄せでは間に合わない。誰か持っていたら貸してください。

1998/11/10
 今日は科研費の申請書の締め切り。科研費ってゆうのは、文部省がお金を出してくれる科学研究費補助金のこと。ってな話は昨年も書きました。研究機関ごとにまとめて文部省に提出するので、自然史博物館内部での締め切りが今日。もっと早くに書類を準備すればいいのに、全員が今日になって作り始めています。夜の7時にようやくできて提出したら、2番目でした。某学芸課長はまだ準備も始めてないみたいやし。

1998/11/6
 自然史博物館の増築、ってゆうか情報センターの工事が始まりました。とりあえず工事する範囲をへいで囲っています。博物館のポーチにも穴をあけて塀を立てています。けっこうやかましい。
 できあがるのは、2000年度の予定。1階に情報センター(学習コーナーと大阪の自然についての展示室)、2階に特別展示室(今と比べるとむっちゃ大きい)、地下に収蔵庫(これも今よりでかい)ができます。今の収蔵庫から新しい収蔵庫への標本の移動は、予算の都合で担当学芸員が自分で運ぶことになりそうです。かなり大仕事になりそう。

1998/11/2
 自然史博物館には、職員の親睦会というのがあって、毎月の給料からお金を積み立てて、宴会をしたり、年に一度旅行に行ったりします。昨年は9月の末に北陸方面へ行きましたが、今年は日程の都合で京都方面へ日帰りとなりました。コースは、園部市のるり渓、亀岡市の湯ノ花温泉、保津川下りをして嵐山。
 例によって学芸員はどこへ行っても何かを採集しようとします。でも今回は、日帰りであまりうろつき回る時間がなかったし、昆虫などには少し時期が遅かったので、めぼしい収穫物はあまりありませんでした。るり渓で、キノコをたくさん採集したくらいでしょうか。ハタケシメジを大量に採ったので、今夜はキノコづくしの予定。
 保津川下りは鳥を見るのにけっこういいコースです。ただし一人3900円と高いのが玉に瑕。くわしくはこちら

1998年10月

1998/10/27
 特別展「都市の自然」が10月11日に終わりました。今日はその打ち上げと称して、特展室の初宿邸で宴会。こんなこと書いてもいいのかな?
 それはともかく、今日、特別展期間中の入館者数が発表されました。入館者が多かったから特別展のできがよかったというわけではありませんが、そこはやっぱり気になるところ。結果8月1日から10月11日までの61日間に、入館者は34338人。一日当たり約563人。これはここ5年で2番目に多い! でも一昨年の「昆虫化石」の607人に負けてる。悔しい。
 ちなみに昨年の「海底の動物」の468人が最低。「海底の動物」の主担者は会期が短く10月初めの遠足の入館者の分が含まれなかったせいだと主張していますが、「都市の自然」は9月末まででも一日当たり約494人。やっぱり勝ってる。


1998/10/22
 午後8時頃、一人で動物研究室の部屋にいると、部屋の隅からゴソゴソと怪しげな音がします。何かなと思って近づくと音はやみます。座って仕事をし始めるとまたゴソゴソと音がします。で、また近づくと・・・。これを何回か繰り返した後、机の下をのぞいてみるとまたミシシッピーアカミミガメが1匹隠れていました。今度は2153番くんでした。丸三日も部屋の中にいたんやね。でも意外と元気。機嫌は悪そうやけど。
 二度あることは三度あるのかな?

1998/10/20
 びっくりした。動物の標本制作室にきのう捕まえたミシシッピーアカミミガメが1匹隠れていました。2151番くんです。カメ篭に入ったカメはバケツに入れて持ち帰って、標識と測定して、またバケツに(山盛りに)入れて置いておいて、次の回収の時に放すのですが。いつのまにか逃げ出してたんですね。丸一日部屋の中にいたことになります。

長い間、乾いた場所にいたせいか、ひっこんで出てきません。とにかく記念撮影して、池に放しました。もう他には逃げてへんやろな?

1998/10/19
 今日は一日、佐久間学芸員と一緒に長居植物園の池でカメ捕りをしていました。夏休みのドキドキ中学生でやってみると、たくさんとれて、再捕獲も多く、すっかり気に入ってしまいました。今のところのカメの個体数は400匹前後と推定しています。
 ドキドキ中学生と8月31日に引き続きまた捕獲を試みました。今までに捕獲したカメは、イシガメ3匹、クサガメ19匹、ミシシッピーアカミミガメ107匹です。今日は新たに買ってもらったカメ篭(カニ篭をカメ捕獲用に改良したものです)の使い初め。結局、40匹捕獲しました。その内再捕獲個体が9匹(単純計算するとカメの個体数は、129×31÷9=444.3匹になります)。新たにクサガメ2匹とミシシッピーアカミミガメ29匹に標識しました。これで合計160匹に標識したことになります。このペースなら(そしてカメの個体数の推定値が間違ってなければ)、あと8日ほど捕獲を試みれば全個体に標識だ!!

1998/10/18 
 今日は長居で「秋の渡り鳥の観察会」の予定です。でも先週から週末は雨と言ってたし、実際ここ3日ほどはずっと雨で、台風もやってきていたので、すっかり行事は中止のつもりでした。行事が中止になるとなぜかとても嬉しい。行事をしたくないというよりも、突然時間的な余裕ができたような気がするから。資料も準備しなくていいし。
 ところが今朝起きてみると、雨は降っていないし、天気予報は曇後晴と言ってる。これでは中止にできないので、午前7時に博物館に行って、留守番電話に行事の実施を吹き込んでセット(ちなみに友の会の月例ハイクは、前日にすでに中止を決定していました)し、大慌てで配布する資料を作成しました。なんて頼りにならない台風でしょ。おまけに風が強くって、鳥はあまりみられないし・・・。

1998/10/17 
 台風のおかげで、明日の行事は中止。の気分で、準備もせずに、今日は当館ホームページのNature Study Onlineを更新していました。今年の4月からNature Study編集担当なので、しなくてはならなかったのですが、ずーっと忘れていました。友の会担当の初宿学芸員も、友の会のホームページの更新をしていなかったからよかったのですが、近ごろ更新をしてこちらにプレッシャーがかかってくるようになってしまっていました。
 Nature Study Onlineは要するに、Nature Studyの目次と、いくつかの記事を公開するだけなんですけど。もともとは佐久間学芸員が作ったものだから、ファイルのリンク関係からしてよくわからない。結局、自分のわかりやすいようにフォルダを作って、リンクを設定し直して。これだけでとても時間がかかってしまった。共同作業でホームページを作るのって面倒やねえ。

1998/10/9
 ここ数日、少しずつ過去の自分のフィールドノートをひっくり返しています。といっても博物館に採用されて大阪に帰ってきてからの約4年半分の12冊ほど。長居公園での調査のノートは別に作っているので、この位の数で済んでいます。
 日本野鳥の会大阪支部が大阪鳥類目録を改訂しようとしているのですが、そこに観察データを出せと言われたので、嫌々始めました。面倒ですからね。他に仕事はいっぱいあるし。でも始めてみると何故かけっこう楽しくて、大阪府下の鳥の繁殖に関わる情報を一通り引っぱり出すことにしました。ただし量がばかにならないので、長居公園の調査は完全に無視、大和川とため池の毎月の調査に関しては繁殖可能性の高いものだけ、という限定をしました。
 この成果の一部は野鳥の会大阪支部に報告して(とくに情報の少ない種についてのみの情報提供依頼でしたので)、残りのデータはこのホームページで公開できるよう入力を進めたいと思っています。けっこうデータの多い種については、繁殖分布地図も作りたいと思っているので、乞うご期待。

 この4年半の間に、けっこう大阪のあちこちにいっているなと思う一方で、意外と行っていない地域も多くあります。特に山地(能勢町、茨木市北部、枚方市・交野市、河内長野市と和泉市の境あたり、泉佐野市〜岬町)。ちょうどこれから年末にかけてが、来年度の博物館の行事の計画を考える時期です。行ったことのない山地を中心に企画してみようかな。

1998/10/3
 友の会グッズの新製品ミニミニバッジ(1ヶ150円)に続いて、後ろの金具を少し変えて作るオリジナルキーホルダー(1ヶ300円)もできました。
 ミニミニバッジの売れ行きはなかなか好調で、今日は14個も売れました。ちなみにキーホルダーは4個。花やキノコ、テントウムシなどの昆虫に比べると、鳥が一番売れているみたいです。やはり色合いのきれいなもの、あるいはかわいいものが人気があるようで、一番人気はカワセミ、つづいてキビタキとスズメという感じです。
 頭の部分が切れているので没になったユリカモメのバッジも、一応にぎやかしのつもりでならべていたら、売れてしまいました。もう同じのを作る気はないので、貴重と言えば貴重なものですが・・・。

1998年9月

1998/9/29
 今日、友の会グッズに新製品が生まれました。といっても今までもあったラスターバッジのとても小さいやつ(直径25mm)です。今までは、あまりバッジの絵柄は多くありませんでしたが、このミニミニバッジは種類を多くして、コレクターズアイテムを目指します。とりあえず色鉛筆で描かれた花とキノコ、絵はがきにもなっている鳥、Nature Studyの表紙も飾ったテントウムシなどを試しに作ってみました。
 どうやら鳥のバッジと、初宿学芸員が作るテントウムシのバッジの張り合いが始まりそうです。

 張り合いと言えば、昨年末以来久しぶりに、この6-8月の当館のホームページへの訪問者数が、管理者(佐久間学芸員)から発表されました。くわしくは、管理者の方から当館のホームページに公開されると思いますが、気になる個人ホームページの順位だけ。

  1位 初宿のドイツ箱    1427
  2位 和田の鳥小屋     1414
  3位 金沢のバグとり研究室  440
  4位 佐久間の地下室     327
  5位 藤井の密林        70

 悔しい。また「初宿のドイツ箱」に負けた。わずかな差なのが、また一層悔しい。きっと「初宿のドイツ箱」では、”また勝った”って書いてあるに違いない。これを読んでいる人、絶対に「初宿のドイツ箱」を見に行かないように。 


1998/9/28
 昼間はため池の調査に行ってきて、館で帰ってきたのが午後3時半。館で仕事をするつもりで帰ってきたのに、今日は燻蒸なんだそうで、午後5時には追い出されるんだそうな。これを書いている今は午後4時55分。あと5分しかない!
 燻蒸って言うのは、要するに殺虫剤をまくことです。家庭ならバルサンをたくって感じかな。博物館には虫に食われやすい標本がたくさんあるので、年に何度か燻蒸します。しかし今日やとは知らんかった。あちこちでびっくりする学芸員の声が上がっています。みんな忘れてたんやね。
 すでに展示室や収蔵庫の燻蒸は始まっていて、何となく白い煙のようなものが廊下を漂っています。なんか体に悪そう。暗室とか生物実験室とか、一部燻蒸しない部屋があるので、そこに食べ物たちを避難させて、そろそろ帰ります。ワニ君はすでに避難を完了しました。

1998/9/24
 今日は、毎日新聞と毎日放送主催の”撮りみんぐ”の取材、ってゆうか行事がありました。新聞とラジオで、自然史博物館に集合という案内を流して、学芸員が展示や博物館を解説し、その様子をまた新聞とラジオで報告するといったものです。今回は特別展「都市の自然」の解説ということで、主担者にお鉢がまわってきました。
 朝方ものすごく雨が降っていたので、あんまり人はこないだろうとたかをくくっていたら、約70人もの方が来られました。まずオリエンテーションホールのところで、博物館の活動の紹介と、特別展の概要と準備の裏話をした上で、特別展示室で主だった展示を解説しました。もちろん解説したのは、鳥の展示が中心。約70人もの人が入ると、狭い特別展示室は人で溢れかえりました。こんな企画をするなら、もっと広い展示室にゆったりと展示したいものです。

 特別展の解説の準備に、今回の「都市の自然」で何枚の文字パネルが使われているかを数えてみました。写真のパネルや図表パネルは抜いて、106枚ものパネルが貼られていました(そのうち23枚は”謎パネル”)。1枚のパネルには、平均400字入ってるとすると、ざっと40000語を読むことになります。

1998/9/22
 今日は朝から台風でした。それでも午前中は6人ほど入館者がいました。午後になって、長居植物園が休園になってしまったので、自動的に自然史博物館も休館になりました。
 長居植物園の中にある関係で、こんな時に休館にするかどうかは、いつも植物園の対応を見守ることになります。植物園が開いているのに、自然史博物館だけ閉まってるって訳にもいかないので。

1998/9/21
 特別展「都市の自然」の”長居の自然観察地図”を8月版を、9月版にヴァージョンアップしました。9月も半ばを過ぎて、今頃。あと20日ほどしか会期はないのに・・・。
 そういえば、先日、初宿学芸員はまたパネルを増やしていました。”兵隊虫の謎”とか言うのです。これで特別展の展示の進化もようやく一段落でしょう。ついに完成した特別展の展示を、是非見に来てください。

1998/9/20
 明日、消防署の立入検査があるそうです。突然、1階廊下にあった化石がなくなってびっくり。2階の廊下の荷物も少し片づけて、消化器や消火栓の周りだけでもすっきりさせなくてはなりません。消防署も不意に立入検査をしないと意味がないのにねえ。

 ワニ君は元気です。昨日と今日で大きめの餌金(肉食動物の餌として売られている金魚のこと)を5匹食べて、大きな糞を一つしました。今日は動物標本制作室でいつのまにか脱走していて、一時騒然としました。いきなり足に食いつかれたらいやですからね。すぐに見つかりましたけど。

1998/9/18
 昨日、京都大学でもらってきたワニガメは、まだ生きています。とりあえずワニ君と呼ぶことにします。
 寄贈者は殺さずに死ぬまで飼って欲しがっています。それにワニガメは淡水ガメの中では最大級の種類で、大きなものは100kgを越えるんだそうです。そんな立派な標本にしてみたい。口を開けて舌で魚をおびき寄せて食いつくというおもしろい習性があるので、展示したいような気もします。
 死んだミールワームとか、タンザニアアカノドシャコ(動物園でもらってきた死体です)の肉とかを入れてみましたが、食べません。生き餌しか食べないとすると、けっこう飼うのは面倒かも。

1998/9/11
 外来研究室で、初宿さんと樽野さんが、何やらごそごそやってます。どうも展示を作っているみたいです。どこの展示かと思いきや、今開催中の特別展のヴァージョンアップなんだそうです。そういえば、今週に入って、ついに空のままの展示だったセミの抜け殻のタンクに抜け殻が入りました。9月6日の「セミの抜け殻調査」の成果です。今日作っていたのは、8月の初めに長居公園で行ったセミのマーキング調査の行事(タイトルは忘れた)の成果のようです。初宿さん曰く、進化する特別展なんだそうです。でも会期は半分以上終わってるのに・・・。
 これに刺激されて、大阪府下のコシアカツバメの分布の展示をヴァージョンアップしました。新しい情報をどんどん付け加えて行くつもりやったのに、すっかり忘れていました。結局このホームページで公開してる地図に追いついただけですけどね。初宿さんもブタクサハムシの分布の展示も更新しているそうです(こちらは手書きです)。
 このあと、長居の自然観察地図も9月版にヴァージョンアップする予定です。とっくに9月やったのに、これも放ったらかしやったんです。ともかく特別展「都市の自然」の展示は、日々進化しています。一度見た人もまた見に来てください。

1998年8月

1998/8/30
 今日は、夏休みの終わりに恒例の標本同定会です。朝から博物館は何となくお祭りムードで、お客さんが来るのを待ち受けます。といっても、鳥の標本を持ってくる人はめったにあるわけもなく(2年に一度くらいはありますけど)、むっちゃ暇。
 波戸岡学芸員や樽野学芸員と一緒に担当した脊椎動物は、哺乳類2件(イヌの骨、カヤネズミの巣の写真)、鳥類4件(ヒヨドリの卵1件と、羽根2件、羽根&メジロの巣1件)、爬虫類1件(アオダイショウの抜け殻)、両生類1件(イモリの幼生)、魚類1件(メダカの自由研究の相談みたいなの)でした。脊椎動物全部で9件、鳥だけで4件。これは今までで一番多かったです。でもやっぱりむっちゃ暇でした。


1998/8/26
 今日から5日間の日程で、博物館実習が始まりました。今年は何故か実習生は5人しかいません。各地の大学で学芸員養成コースができて、博物館実習を受け入れてくれる機関が不足気味だったはずなのに、なぜ? ともかく意外と自然史博物館は博物館実習の穴場かもしれません。せっかく女子大生と仲良く出来るチャンスなのに、少し残念。
 今日は、オリエンテーションで終わり、最終日は標本同定会の手伝い、ってゆうか見学だけ。真ん中の3日間を、学芸員が交代で受け持ちます。たいていは、標本の保存や整理を手伝ってもらうことになります。

1998/8/23
 今日は、特別展の普及講演会。午前中は平塚市博物館の浜口さんを(佐久間学芸員を運転手に)南港野鳥園に案内。午後からは、普及講演会の司会です。
 「街のいきもの 西vs東」と銘打って、関東方面の講演者3名に話をしていただいて、それに対して関西から突っ込むという企画です。午後1時から3時間。講演40分と突っ込み10分を3回。前ふりや講演者の紹介、質疑応答を考えると午後4時には終わらんと思ってたら、案の定終わったのは午後4時25分。まあこんなもんか。
 中身は、”対決”を装っていますが、勝ち負けを競うものではなく、ケンカするわけでもなく、関東の状況を聞いて、関西の話をして、軽く比較しようと言う程度です。この当初の目的はおおむね達成出来たと思います。全体には、盛りだくさんすぎて、しんどかったと思います。中身もけっこう難しかったし。東京湾と大阪湾、関東のセミと関西のセミ、くらいに絞って、時間をかけて話を聞いた方がよかったかもしれません。

1998/8/20
 ”ドキドキ中学生”の最終日。きのう捕まえたカメのデータを入力して、文章や図表を作成し、打ち出してパネルに貼って、特展室の前に展示。まさに学芸員の仕事(研究→展示)を体験してもらいました。
 でも中学生にとっては、データを入力したりいじったりするよりも、カメを捕まえて穴を開ける方が楽しそうでした。あと打ち出した物を、パネルに貼って、展示するところは、それなりに楽しそうにしていました。要するに学校の勉強みたいな部分が嫌いなんでしょうか?

1998/8/19
 ”ドキドキ中学生”で中学生や補助スタッフの方と一緒に、一日カメを捕まえて、計測して、穴をあけて(甲羅に穴をあけてマークします)、放すを繰り返しました。おかげで、のべ65個体も捕れました。内訳はミシシッピーアカミミガメが59個体とクサガメが6個体。今回は残念ながらイシガメが捕れませんでした。かわいいのに。
 捕獲した中には、月曜日にマークした個体も6個体混ざっており、いくつか仮定した上で長居の池のカメの個体数を推定すると、341個体となりました。こんなに少ないのかなあ? 移出入や死亡がないという仮定はいいとしても、マークしたカメが池中に分散するという仮定は無理があるのかもしれません。
 ともかくたくさんデータが取れたので、調査としては成功。最初カメを嫌っていた女の子も、一度さわると、捕まえたり、穴を開けるのが気に入ったみたいです。びっくりするほど上手にドリルで穴を開けていました。とりあえず行事としても成功かな。
1998/8/17
 昨日の夕方セットしたカニ篭を、朝上げてみると、カメが18匹も入っていました。餌はかびの生えたお稲荷さんとシマウマの肉。種類の内訳は、アカミミガメ10匹、クサガメ6匹、イシガメ2匹。カメを回収した後、またすぐに設置して夕方に回収しました。今度も19匹捕れました。種類の内訳は、アカミミガメ16匹、クサガメ2匹(内1匹は再捕獲)、イシガメ1匹。意外とクサガメとイシガメが多いのでびっくりしました。
 
 午後には、天王寺動物園へ動物の死体を引き取りに行きました。約7ヶ月ぶりです。貧乏性なので、要りますかと言われると断れなくて、いっぱいもらってしまい大騒ぎです。また哺乳類は樽野学芸員、両生爬虫類は波戸岡学芸員に押しつけました。今回も鳥だけでも45体もあります。
1998/8/16
 8月18日から3日間の日程で、”ドキドキ子ども自然史ウォッチング学芸員体験コース”という長い名前の中学生対象の行事があります。とても全部言うのは面倒なので、”ドキドキ中学生”と呼んでます。
 今年は、3班に分かれてテーマごとにデータをとって、まとめて、展示を作る、という企画になりました。なぜかその中でカメさんチームを担当することになってしまいました。長居植物園の池でカニ篭という篭罠を使ってカメを捕獲、計測して標識して放す、予定です。きょうは夕方から、試しにカニ篭を設置してみました。カメがあまり捕れないようなら、他にすることを考えなくてはなりません。5つのカニ篭を設置したのですが、その内1つには、10分もたたないうちに2匹もカメが入ってました。これで本番は大丈夫でしょう。 
1998/8/8
 今日は、年に一度の自然史講座。自然史講座は、毎月1回、第2土曜の午後3時から1時間半、学芸員が交代で話をする講座です。学芸員は(館長を含めて)14名いるので、だいたい年に1回担当がまわってきます。だいたい8月と9月は、特別展の開催期間なので、それに関連した話題と学芸員が当たることになります。特別展の準備が終わったと思ったら、今度は自然史講座の準備。
 参加者は57名と、なぜか盛況。会場の部屋は50名くらいでいっぱいなので、すし詰め状態でした。1時間半も話してると喉はかれるし、最後の方は時間がなくなるし。参加者は満足して帰られたんでしょうか?
 「大阪市で繁殖する鳥」という題で、大阪鳥類研究グループで行なった大阪市内46箇所の公園の繁殖鳥調査の結果を中心に、大阪市内で繁殖する鳥を紹介しました。大都会の大阪市でこんなに多くの種類が繁殖しているということを知ってもらうと同時に、都市で繁殖する鳥が、数十年単位でどんどん変化していることを話したいと考えていました。で、最後に、大阪市内で近年繁殖するようになってきた鳥の表を見せるつもりでいたのに・・・。けっこう時間をかけて作成してプリントアウトしたのに、資料に印刷するのもその存在もすっかり忘れて、口頭で話すだけになってしまいました。悔しいので、ここで幻の表を公開しておきます。もし付け加える情報を御存知の方は、wadat@omnh.jpまで。
表7.大阪市内で繁殖するようになった(?)鳥
種類 繁殖開始年 経過と現状
カンムリカイツブリ まだ 1990年に大阪府下で初めて高槻の淀川で繁殖した。大阪市内の淀川でも越夏しているので、繁殖するかもしれない。
オオバン 1985年頃 1985年に大阪府下で初めて堺で繁殖した。ほぼ同時期に南港野鳥園でも繁殖するようになった。現在、南港野鳥園と淀川城北で繁殖。
キジバト 1960年代? かつては繁殖していなかったらしいが、現在は、大阪市内の各地で繁殖。
コゲラ 1993年? 1993年頃に大阪城公園で繁殖したのが最初。その後、鶴見緑地や長居公園でも繁殖するようになった。
ハクセキレイ 1980年代後半 1983年に大阪府下で初めて堺市などで繁殖が確認された。当初、湾岸部が中心だったが、近年は内陸にも、繁殖分布が拡がっている。
ヒヨドリ 1970年代 かつては冬鳥であったが、現在は、大阪市内の各地で繁殖。
エナガ 1994年 大阪城公園でのみ繁殖。
シジュウカラ 1980年代? 1980年代に大阪城公園や南港で繁殖したのが最初らしい。現在でも繁殖している場所は多くない。
メジロ 1989年 大阪城公園で繁殖したのが最初らしい。その後、市内で繁殖分布は拡がっている。
カワラヒワ 不明 いつ頃から大阪市内で繁殖するようになったのかよくわからない。現在でも繁殖している場所は多くない。
ムクドリ 不明 1970年代くらいまでは、大阪ではあまり多くなかった。現在は、大阪市内の各地で繁殖。
ハシブトガラス 不明 1970年代くらいまでは、大阪の都市部ではあまり多くなかった(少なくとも1978年の長居公園にはいなかった)。現在は、大阪市内の各地で繁殖。

 参考文献は、「Urban Birds vol.9 No.2」「都市鳥研究会(1991)全国主要都市の都市鳥1990」「橋田(1983)Nature Study 29(4): 40-41」「元山裕康(1997)大阪城公園の野鳥」

1998/8/2
 特別展の解説書は、校正に手間取ったので、全部を特別展開始までに納品してもらうことができず、とりあえず最初の2日間(土日)の分だけを、先に納品してもらいました。2日間で200冊くらい売れるとふんで、余裕を見て300冊。でも結局売れたのは14冊だけ。招待した人に渡した分を含めても25冊。30冊で足りたなあ。
1998/8/1
 ついに特別展開始。きのうまで空だったケースも無事に埋まっていた。
 うちの特別展は、悪く言えばチープですが、よく言えば手作り。学芸員が最後の最後まで関わっているから、途中で思いついたアイデアを、どんどんぶち込んでいるってゆう感じ。特展が始まってからも、手直ししたり、情報を付け加えたり、と思っている奴もいるし。おかげで、説明のパネルがどんどん多くなる。全部のパネルを読んでたら、かなり時間がかかる。
 展示されている標本数(広報にははったりで300点と書いたけど)は、実際に展示してあるのを数えたら約650点ありました。その内、3/4は昆虫類。自分で担当したものは、爬虫類1点、鳥類剥製25点、鳥類の巣(巣材)10点、哺乳類4点のわずか合計40点。
 ●特展開始●

 特別展の準備で散らかった外来研や廊下を片づけていたら(片づけていたのは主に山西学芸員ですが)、ヤモリがでてきました。まさに都市の自然。もっと早く捕まってたら展示したのに。せっかくなので、デジタルカメラで記念撮影して、植物の標本制作室に逃がしました。食物になる虫が多いだろうということで・・・。


1998年7月

1998/7/31
 解説書が納品された。全部やないけど、明日、明後日売る分は足りる。残りの納品は月曜日。今日は、おもに展示室の掃除と、ケースのガラスふき。あとは細部にこだわる学芸員が手直しをしている。
 午後3時の時点で、空のケースは、入ってすぐ右の平面ケースと、出口の所の大きな平面ケース。I学芸員とO学芸員は果たして間に合うのか?
 今日の特展の準備は、
・ミシシッピーアカミミガメの卵殻をならべて展示。
・ドバトの巣(巣材?)をついにGET。といってもわずかな巣材と糞からできてる。それでも展示することにする。
・展示したドバト、スズメ、ムクドリの巣(のあった場所)のスライドを取り込んで、加工して打ち出し。
・ビル街にイタチ、ネズミ、カラス、ゴミを設置。
・都市公園にパンをまく。
 ●特展開始まであと1日●


1998/7/30
 特展の準備は、きのうが山場だったようで、フル稼働だったパネルの打ち出しも、きょうはあまり忙しそうでない。この期に及んでもバタバタと準備しているのは、O学芸員、K学芸員、S学芸員くらいなもの(本人の名誉のため名前は伏せさせていただきます)。関係している12コーナー(ちょっとだけのも含めて)のうち、10コーナーの関係部分は一応完成。
 今日の特展の準備は、
・”コシアカツバメの繁殖地図”を作成し、”大阪市内の鳥の繁殖分布の地図”を手直しし、打ち出して、CPパネルに貼って、取り付け。
・残りの写真を適当な大きさに切って、CPパネルに貼って、取り付け。
・剥製や写真のラベルの一部を、手直し。
 ●特展開始まであと2日●
1998/7/29
 家の中に入れる大きな昆虫(ゴキブリやハエやカなど)やキノコのレプリカが納品された。パネルや写真、剥製など、展示物の多くがそろってきて、取り付けの段階になってきました。今回の特別展は、パネルの使用枚数が多いらしく、特別展示室がパネルだらけになってきた。
 今日の特展の準備は、
・発注していたイタチの剥製などが届く。所定の場所へ配置。アブラコウモリは結局間に合わず、8月5日に納品の予定。
・出来上がってきた写真を展示用の枠へ入れる。
・剥製や写真のラベルを作成。特展室へ。
・打ち上がったパネルとセットの完了した写真を、特別展示室の展示予定コーナーへ運ぶ。取り付けられるものは取り付け完了。何となく予想して多けど、スペースが足りなくて没になるものも若干あり。
・それにも関わらず、追加の文字パネル4枚と、ごあいさつパネルを打ち出し係へ発注。
・パステル調できれいにできたはずの”大阪市内の鳥の繁殖分布の地図”が色の設定が淡すぎてきれいに打ち出されない。展示スペースも不足気味。レイアウトと色の設定をやり直し。
・ドバトとスズメとムクドリの巣(あるいは巣のあった場所)の写真を撮影。7月31日にスライドが出来てくるから、フィルムスキャナーで取り込んで、カラープリンターでパネルにする予定。ドバトはまだ営巣中で、巣を採取できない。
 ●特展開始まであと3日●
1998/7/28
 ついに特別展示室に展示物がならび始めました。標本を入れて、パネルや写真を入れると、それらしくなってくる。たいてい計画よりも展示スペースは狭く、ならびきらないパネルが出てきたりする。看板と垂れ幕の取り付けも完了。
 今日の特展の準備は、
・追加の文字パネル2枚を作成し、打ち出し係へ発注。
・鳥の巣9点を、展示ケースへならべる。あとはドバトの巣だけ。
・家の窓にはりつける大きなヤモリの写真を、スキャナーで取り込んで加工して作成。
・カラーコルトン(スライドみたいに後ろから光をあてる写真)2枚の、展示を完了。
・自然史博物館に衝突して死んだ鳥の仮剥製を展示ケースにならべる。
 ●特展開始まであと4日●
1998/7/27
 特別展の看板が出来上がってきた。大きくてさすがに館で打ち出すことが出来ないので、デザインから看板屋さんへ発注します。クマゼミとヒヨドリの絵を入れてね、って資料と一緒に渡してあったんやけど、ヒヨドリの絵はあんまり出来が良くない。でもやり直す時間がないので、このまんま。
 今日の特展の準備は、
・謎パネル21枚の原稿が集まったので、レイアウトや色を設定し、文章を整える。あとは打ち出し係へ発注。
・図表のパネル10枚の色付けとレイアウトが完了。あとは打ち出すだけ。打ち出し係へ発注。
・懸案のミシシッピーアカミミガメは、展示の仕方を工夫して、採ってきた大きい標本を使うことに決定。
 ●特展開始まであと5日●
1998/7/26
 また昼過ぎから用事があるので、あまり特展の準備の時間がない。ピンチピンチ。
 今日の特展の準備は、
・招待状の発送先の訂正を入力して、宛名ラベルを打ち出し。発送はは庶務にお願いする。
・「ごあいさつ」のパネル(特展室に入った最初にある大きなやつ)の原稿を作成。謝辞が抜けているとまずいので、館内メールで学芸全員のチェック待ち。
・図表のパネルの作成。みんな色付けとかレイアウトで凝り始めている。とりあえず一通り作成完了。あとはレイアウトと色付け。
 ●特展開始まであと6日●
1998/7/25
 昼過ぎから淀川鵜殿へツバメのねぐらを見に行くので、あまり特展の準備の時間がない。ピンチ。
 今日の特展の準備は、
・きのう採集したミシシッピーアカミミガメが、展示するには大きすぎることが判明。展示用のケースに入らない。もっと小さなのを捕まえなくては。
・解説の文字パネル11枚を打ち出し係へ発注。打ち出し係ってゆうのは、今回の特別展で展示を担当しない学芸員のこと。近ごろは文字パネルでも、図表パネルでも、写真でさえも、コンピューターで取り込んで打ち出せるので便利。でも打ち出しにはそれなりに時間がかかるので、誰かが専属になった方が効率的、というわけです。昨年までは、自分が打ち出し係やったんやけどね。
 ●特展開始まであと7日●
1998/7/24
 今日の特展の準備は、
・現像が出来てきたのと合わせて、写真やへ紙焼きの発注をする。7月29日にはできるらしい。ぎりぎりセーフ。
・ため池の鳥の調査のついでに、ミシシッピーアカミミガメを採集。てっきり館に標本があると思ってたら、なかった。
・長居公園でキジバトの巣を採集。当館職員の塩野さんに手伝ってもらいました。塩野さんはなぜか巣を見つけるのがうまい。あとはドバトの巣だけ。
・朝日新聞社とNHK大阪から、特別展関連の問い合わせ。宣伝してくれると嬉しいので、資料や写真を送る。
 ●特展開始まであと8日●
1998/7/23
 今日の特展の準備は、
・解説書の前半の二校を返したら、後半の二校が、やってきました。その校正でまた大忙し。夕方に二校を返したけど、納品は間に合うかぎりぎり。なんせ直しが多いから
・解説の図表パネルのうち、大阪市内の鳥の繁殖分布の地図を作成。パステル調できれいにできた、と思うんやけど・・・。
・紙焼きのスライドをセレクト。明日、現像が出来てくるのと合わせて、写真屋へ。
・”長居公園の生物相の変遷”と”謎パネル”の相談などなど。”謎パネル”が何かは、展示を見てのお楽しみ。
 ●特展開始まであと9日●
1998/7/22
 特別展「都市の自然」が8月1日から始まります。準備が出来てても、出来てなくても、始まります。あと準備できるのは、今日を入れてあと10日。8月1日の朝も準備できるけどね。これから毎日、どんな準備をしたか書いてみます。
 今日の特展の準備は、
・解説書の前半の二校が、やってきました。その校正で大忙し。二校になっても訂正がいっぱい。
・展示するための巣の採取に、長居公園を右往左往しました。スズメの巣は簡単にGET。とりやすい場所にドバトの巣を見つけたけど、まだ営巣中だからしばらく見守ることにする。特展開始までにやめてくれますように。ムクドリの巣に手を入れたけど、巣材に届かない。ようやく手が届くのを見つけて、巣材を引っぱり出したら、タバコの包みのセロファンばっかり(このムクドリの巣材採集は、当館職員の塩野さんに手伝ってもらいました)。キジバトの巣も見つけたけど、もっと低い位置のりっぱなのを探すことにする。
・解説の文字パネルの原稿を仕上げる。解説の図表パネルの準備を始める。
 ●特展開始まであと10日●

1998/7/16
 特別展「都市の自然」の解説書の初校を印刷屋さんに返しました。これで解説書は山場を越えたって感じ。ほんとうなら、入稿段階で山場を越えていそうなものですが、入稿の時には大まかな原稿しかできてなくて、初校で差し替えというのがけっこうあって。印刷屋はたいへんです。当館の仕事は今回が初めての印刷屋なので、こんなにたいへんとは知らなかったでしょうね。今日初校を返したので、来週のはじめに二校が来て、すぐに返して、青校もあるのかな? とにかく特別展が始まる8月1日に間に合うかどうかはぎりぎりです。
 何となくホッとした感じですが、そろそろ本気で展示を考えなくてはなりません。今までは、他にすることがいっぱいあったもんで、あんまり考えてなかったんですね。こっちも間に合うかどうか。

1998/7/10
 下の写真は、きのう岡本学芸課長がテレビの取材を受けてるところです。当館のホームページにこんな写真を載せる場所が他にないので、ここに載せます。はなまるマーケット(TBS系)の取材だそうです。いつ放送されるのかは知りません。だいたいはなまるマーケットが、どうして大阪市立自然史博物館の取材に来るのかな?
  →7月17日に放映されました。青汁の特集で、その原料であるケールの解説をしていました。
 そういえば、今夜の探偵ナイトスクープ(朝日放送)に、佐久間学芸員が”光るキノコ”で出演するんだそうです。何と言っても当館は探偵ナイトスクープの御用達やそうなので(知らんかったけど、放送でそう言ってたし)、当館のホームページのURLを放送で流させようとしたけど、断られたようです。残念。ちなみに今までに、鳥の質問での出演依頼は一度もありません。嬉しいような、悲しいような。


1998/7/9
 今日、今年の夏の特別展「都市の自然」のプレス発表がありました。といっても博物館の誰かがマイクの前で、マスコミに向かって話すのではなく、教育委員会関係をまとめて資料を配るといった程度のものです。博物館では、配る資料と写真を用意するだけ。
 プレス発表の前には、広報をしてはいけないという内規があって、これでようやく特別展「都市の自然」の宣伝が解禁になりました。といってもホームページのあちこちで、すでに書いてたような気がしますが・・・。

1998/7/7
 スズメのスンちゃんが死んでしまいました。
 まったく羽根が生えていない状態で拾われてきて、約2ヶ月。大きくなって、人によくなつきました。なぜか人の手のひらの上でなごむのが好きで、飛べるようになっても完全に手乗りスズメになってしまいました。育て方に問題があったのか足の成長が悪く、立てませんでした。そんなこともあって、自然復帰はあきらめていました。
 やっぱり生きたものは、引き取りたくありません。死なれると、寂しい。

1998/7/6
 今日と来週の月曜は、半年に一度の、館内の大掃除の日。どんなことをするのかは、こちらをごらんください。暑い日に水でジャブジャブするのはけっこう楽しい。でも今日は、特別展の解説書の追い込みで、コンピューターの前に座っています。来週は、大掃除に加われるかなあ。

 【ここにも孔子鳥関係のことを書いてしまいました。しばらくお待ちを。】→1998/12/10ついに公開!
 今日と来週の月曜は、半年に一度の、館内の大掃除の日。どんなことをするのかは、こちらをごらんください。暑い日に水でジャブジャブするのはけっこう楽しい。でも今日は、特別展の解説書の追い込みで、コンピューターの前に座っています。来週は、大掃除に加われるかなあ。
 そういえば、昨日朝日新聞に載った孔子鳥問題で、今日は館長や課長といった管理職は大忙しです。みんな本庁にいって、説明してまわってるみたい。特別展の準備に孔子鳥のおかげで、大掃除の人手が大幅に減りました。もちろん他に特に用がなければ、館長も課長もみんな大掃除に駆り出されるわけです。

1998/7/5
 【ここには新聞で有名になった孔子鳥関係のことを書いたんですけど、館の公式見解を公開するまでは、公開を見合わせることになりました。というわけで、しばらくお待ちを。】→1998/12/10ついに公開!
 朝起きて朝日新聞の一面を見て、びっくりしました。とりあえず”中国の希少化石、不正流入”、”孔子鳥 法で持ち出し禁止”、”公立5博物館購入”という見出しが目に入りました。「へえー孔子鳥の化石って日本に入ってるのか」と思いながらよく見ると、小さめに”大阪・鳥取など”って書いてある。「大阪のどこの博物館が孔子鳥を買ったのかな」、と思いながらさらに読んでいくと、なんと大阪市立自然史博物館の名前が出てくる。ここでようやくうちの館が孔子鳥を買ったって書かれていることに気づいて、びっくり。

 念のために言っておくと、私は現生鳥類の担当なので、化石鳥類に関してはまったく関与していません。でも朝日新聞の取材の電話はまわってきました。記者の人に、「業者にお宅が孔子鳥を買ったって聞いたんですけど?」と聞かれてもはじめは何の話か分からなかった。コウシチョウ?紅嘴鳥かな?って思ったくらい。

 さて問題の化石ですけど、当館が購入した化石にはSinornisというラベルが付いています。ちなみに孔子鳥はConfuciusornis。孔子鳥が発掘された同時代の同じ地域からはたくさん古代鳥類の化石が出ていて、Sinornisもその一つなんだそうです(また聞きです)。当館の公式見解が発表される前に、あんまり書くわけにはいかないけど。って書いてたら公開に待ったがかかってしまった。この文章が公開されている頃には、館の公式見解もホームページで公開されていることでしょう。