大阪府下のサギの集団繁殖地

確認データ  分布地図  1999年の繁殖地図

内容のまちがいに気づいた方、新たな情報(観察記録や文献)を持っている方はお知らせ下さい。

大阪府下のサギのコロニーの変遷

 1960年代までは、大阪には仁徳天皇陵というサギの巨大なコロニーが存在していて、ゴイサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ、アオサギの6種が、数万羽という大集団で繁殖していた。そのころ他にどのくらいサギのコロニーがあったのかは不明。
 しかし1970年代に入ると仁徳天皇陵のコロニーは消滅し、それ以降、大阪府でチュウサギの繁殖記録はなく、アオサギも1990年代に入るまで繁殖していなかった。1970年代から1980年代にかけては、ゴイサギとコサギが府下の少数のコロニーで繁殖し、ごく少数のダイサギとアマサギも混じって繁殖しているといった状況であった。
 1990年代にはいると、大阪府下でアオサギが再び繁殖しはじめ、新しい繁殖コロニーも次々と見つかっている。かつては大きなコロニーが少数あったのに対して、近年は小さなコロニーが多数できているらしい。またアオサギを中心に、樹上ではなく、地上や水上での営巣例が次々と見つかっており、今後の動向が注目される。


私自身が確認した情報(【和田】と表示)を中心に、大阪市立自然史博物館へ寄せられた情報(【博物館】と表示)、和田個人が聞いた情報(【個人情報】と表示)、文献情報(【文献】と表示)を基に作製しました。

文献(*付きはとくに重要な文献)
 1.重野保博(1970)仁徳陵および御廟山におけるサギコロニーの生態−その消滅過程−.日本生物教育会第25回全国大会記念誌:109-119.
 5.大阪支部幹事会(1983)淀川中州のサギコロニーを守ろう.ムクドリ通信 (47):11-13.
 6.栗谷至(1983)サギコロニー保存問題経過と問題点(上).都市と自然 (88):3-4.
 7.栗谷至(1983)サギコロニー保存問題経過と問題点(下).都市と自然 (89):3.
 8.石川正道 (1984)鳥信.ムクドリ通信 (53):6.
 9.吉村栄 (1984)例会報告.ムクドリ通信 (54):12.
 10.大阪自然環境保全協会 (1984)今年もまたサギコロニー問題.都市と自然 (97):2.
*11.藤岡正博(1985)大阪府下のサギたち.都市と自然 (111):6-7.
*13.大阪府(1987)大阪府下におけるサギ類生息調査.
 15.喜志中学科学部(1991)大阪の鳥.ムクドリ通信 (96):5.
 16.丸橋寿夫(1991)91'淀川下流域におけるササゴイ繁殖状況.淀川負け惜しみ通信 (36):1.
 17.喜志中学科学部(1992)大阪の鳥.ムクドリ通信 (101):5.
 18.石塚和子・石塚優・石塚真(1993)大阪の鳥.ムクドリ通信 (107):5.
 19.喜志中学科学部(1994)大阪の鳥.ムクドリ通信 (112):6.
 20.鈴木宏介(1994)大阪の鳥.ムクドリ通信 (113):8.
 21.石塚和子・石塚優・石塚真(1997)大阪の鳥.ムクドリ通信 (130):7.
 22.朝日新聞1997年5月14日朝刊.
 23.朝日新聞1997年8月16日夕刊.
 24.納家仁・榮本和幸ほか(1998)大阪の鳥.ムクドリ通信 (136):8.

博物館や和田個人に情報を寄せて下さったのは次の方々です。
 稲本和永氏、浦野信孝氏、大槻悦子氏、河上康子氏、北山昭氏、熊代直生氏、黒田祥子氏、白藤登志子氏、杉之原専司氏、中村進氏、西中美穂氏、西村静代氏、橋田俊彦氏、弘岡知樹氏、 藤田俊児氏、松尾 ■氏、松尾照子氏、松村憲一氏、松本英知氏、六車恭子氏


和田の鳥小屋のTOPに戻る


確認データ

※観察記録は除く。

【北摂】
●能勢町:能勢町役場裏山
  1998.4.19 アオサギが繁殖【博物館】
  1999.5.16 アオサギ12巣(内5巣で抱卵中)【博物館】
○箕面市桜2丁目
  1982年まで ゴイサギが繁殖【文献8】
  1987年 繁殖していない【文献9】
○豊中市新千里北町:樫の木公園
  1988.5.12 ゴイサギ1羽が池の上をワラ様のものをくわえて飛ぶ【博物館】
○摂津市浜町
  1984.4.28 発見【文献7】
  1984年 コサギ100羽、問題化して消滅【文献8】
  1987年 コロニーのあった竹林は伐採されており、繁殖していない【文献9】
○茨木市宇野辺
  1985年 竹林に営巣【文献9】
●茨木市鶴が池
  1985年位 初めてコロニーを形成【文献9】
  1986年 コロニーを形成【文献9】
  1987年 ゴイサギ30巣以上、コサギ10巣以上、アマサギ3巣?【文献9】
  1999年6月 ゴイサギ1-2巣、コサギ3-5巣、アオサギ20-25巣営巣【個人情報(又聞きthrough河上康子)】
○茨木市太田3丁目:継体天皇陵
  1983年 不明【文献3】
  1997年まで ゴイサギ?が繁殖【個人情報(又聞きthrough河上康子)】
  1999.4.21 サギは繁殖していない【個人情報(河上康子)】
●高槻市上土室4丁目:尾広池(高槻赤十字病院正門西側)
  1999.5.12 ヨシの繁みの中にアオサギとコサギのヒナのいる巣を確認【博物館】

【大阪市】
○大阪市東淀川区:淀川中州
  数年前から1983年まで 約800巣、ゴイサギ9割とコサギ1割【文献2】
  1983年 中州撤去のため消滅【文献9】
●大阪市天王寺動物園
  1996.6.6 バードゲージの上や周囲の樹木にゴイサギ・コサギ・アオサギの巣【博物館】
  1997.5.11 バードゲージの上や周囲の樹木にゴイサギ・アオサギの巣【和田】
  1999.4.8 アオサギが乗る巣1つ、ゴイサギが乗る巣2つ【博物館】
  1999.4.24 バードゲージの上にアオサギの巣20、周囲の樹木にゴイサギ巣2つとコサギの巣1つ【博物館】

【北河内】
●枚方市:山田池公園
  1998.5.31 池の周りの樹にゴイサギ2巣、コサギ1巣、アオサギ7巣を確認【和田】
  1999.5.26 アオサギ16巣を確認【博物館】
●枚方市菊丘南町:松下電器産業教育訓練センター
  1997.5.14 コサギとゴイサギが繁殖?【文献17】
  1999.4.28 コサギ約24巣とゴイサギ約37巣が繁殖【博物館】

【南河内】
●松原市上田2丁目:寺池
  2000.3.25 ヨシ原にアオサギ1巣【和田】
●松原市上田6丁目:樋野ヶ池
  1993.5.5 アオサギ1巣【文献13】
  1996.5.29 アオサギとゴイサギが繁殖【博物館】
  1997.4.13 アオサギとゴイサギが繁殖、巣が約30個【博物館】
  1997.5.3 アオサギ40+【文献16】
  1998.3.29 アオサギが繁殖【博物館】
  1999.5.18 ダイサギ2巣、コサギ6巣、ゴイサギ5巣、アオサギ19巣【博物館】
  1999.6.2 ダイサギ3巣、コサギ9巣、ゴイサギ9巣、アオサギ19巣【和田】
  1999.6.15 アマサギ1巣造巣中【和田】
○藤井寺市西大井
  1994.5.27 アオサギ7-10ペア、アマサギ5-6ペア、ゴイサギ・コサギ多数。全部で約80巣【文献15】
  1999.5.30 サギが営巣しそうなブッシュがなくなり、巣は見つからない【個人情報(松本英知)】
○藤井寺市仲哀天皇陵
  1980-1983年【文献8】
  1984年 繁殖していた可能性あり【文献8】
  1999.5.30 サギの巣は見つからない【個人情報(松本英知)】
●藤井寺市国府1丁目:允恭天皇恵我長野北陵
  1999.5.5 営巣中のアオサギ5巣【博物館】
○羽曳野市古市5丁目:安閑天皇陵
  1985年【文献9】
  1999.5.3 サギの営巣は確認できず【博物館】
○羽曳野市白鳥1丁目:日本武尊陵
  1986年 初めてコロニーを形成【文献9】
  1987年 ゴイサギ19巣、コサギ8巣、アマサギ4巣、ダイサギ1巣【文献9】
  1999.5.3 サギの営巣は確認できず【博物館】
●羽曳野市島泉8丁目:雄略天皇陵
  1997.8.16 コサギとゴイサギが繁殖?【文献18】
  1997.8.31 コサギとゴイサギの巣立ちビナを確認【和田】
  1998.5.30 アオサギの巣を2個確認【博物館】
  1999.4.24 アオサギの巣を1個確認【博物館】
●羽曳野市軽里2丁目:芦ガ池
  1999.5.1 湿地上の葦の枯れ葉の上に、ヒナがいる又は営巣中のアオサギの巣を5個確認【博物館】
●富田林市南旭が丘:新池・七廻池
  1991年 アオサギ5巣【文献10】
  1992.6.13 アオサギ11巣、ゴイサギも繁殖【文献12】
  1994.4.30 アオサギ10巣以上、ゴイサギも繁殖【文献14】
  1999.5.9 アオサギ26巣(内15巣にヒナ)【博物館】
●河内長野市市町:近鉄長野線の西側すぐの斜面(汐の宮駅南南西約150m)
  1999.4.3 アオサギの巣8つ【博物館】

【泉北】
○堺市松屋町:新日鉄構内
  1984年 コサギ【文献8】
  1985年 少なくとも1984年以前からコロニーを形成【文献9】
  1986年 コロニーを形成【文献9】
  1987年 ゴイサギとコサギが中心に188巣【文献9】
  1999.6.5 繁殖していない【和田】
●堺市築港新町1丁:関西電力堺発電所
  1998.5.9 樹上にアオサギ25羽(内約10羽は大きな巣内ヒナ)とコサギ3羽【和田】
○堺市大仙町:仁徳天皇陵
  1964-1969年 ゴイサギ・ダイサギ・チュウサギ・コサギ・アマサギ・アオサギ約3000羽【文献1】
  1970-1971年 繁殖していない【文献1】
○堺市百舌鳥本町1丁:御廟山古墳
  1965-1969年 ゴイサギ・ダイサギ・チュウサギ・コサギ・アマサギ【文献1】
  1970-1971年 繁殖していない【文献1】
●堺市野尻町:大津池
  1994年【個人情報】
  1995年【個人情報】
  1996.6.12 島の樹にゴイサギ・コサギ・アオサギの巣、100-200巣程度【和田】
  1998.5.15 島の樹にゴイサギ・コサギ・アオサギの巣【和田】
  1999.3.23 島の樹にアオサギの巣、水上にも営巣中のアオサギの巣が一つ【和田】
  1999.5.28 島の樹にゴイサギ26巣、コサギ30巣、アオサギ59巣【和田】
  2000.2.25 島の樹にアオサギ約10巣、水上にも営巣中のアオサギの巣が一つ【和田】
  2000.4.27 島の樹にゴイサギ20巣、コサギ14巣、アオサギ46巣【和田】
○堺市金岡:管池
  1996.6.28 島の樹にゴイサギ・アオサギの巣、10巣前後【和田】
  1998.5.15 巣は見られない【和田】
○堺市平井:三ツ池(泉北高速鉄道のすぐ東側)
  1999.4.29 アオサギがのる巣が一つ【博物館】
  2000.5.4 巣は見られない【個人情報(松尾 ■・松尾照子)】
○堺市原田:小叉池
  1999年 ゴイサギが繁殖【個人情報】
  2000.4.30 巣は見られない【和田】
○●高石市高砂3丁目:大阪ガス
  1995年 サギ類が繁殖?【個人情報】
●和泉市小田町:軽部池
  1996年 サギが繁殖【個人情報】
  1998年 コサギとゴイサギが繁殖【博物館】
  1999.6.16 ゴイサギ11巣、ダイサギ1巣造巣中、コサギ29巣、アオサギ2巣【和田】

【泉南】
○岸和田市摩湯山古墳
  1983年 発見【文献3】
  1984年 コサギ・ゴイサギ約1000羽、アマサギ10羽【文献5】
  1984年 コサギ・アマサギ100羽【文献8】
  1987年 繁殖していない【文献9】
○岸和田市尾生町:カリマタ池
  1985年 初めてコロニーを形成【文献9】
  1986年 コロニーを形成【文献9】
  1987年 ゴイサギ300巣以上、コサギ66巣以上、アマサギ1巣以上【文献9】
  1996.8.6 繁殖していない【和田】
  1999.6.16 繁殖していない【和田】
●岸和田市磯上町:今池
  1998.5.10 ヨシの上の巣にヒナが2羽【文献19】
  1999年3月 ヨシ原の下の地面や湿地や池、枯れたヨシが積み重なった上にアオサギ5巣【博物館】
  1999.6.16 ヨシの上にアオサギ2巣、ほかにもヒナの声多数。ゴイサギの巣立ちビナくらいの個体1羽【和田】
●岸和田市流木:今池
  1999.6.2 アオサギ3巣営巣中、チュウサギ1巣造巣中【博物館】
  1999.6.16 巣立ち直後くらいのアオサギはいるが、サギ類の巣は見あたらない【和田】
●貝塚市橋本 →JR阪和線から見える
  1996.7.30 池の周囲の樹にゴイサギ・コサギの巣が50巣弱【和田】
  1998年7月 ゴイサギとコサギが営巣【博物館】
●貝塚市福田:福田公園横の池
  1998.3.21 ゴイサギが営巣【博物館】
●泉南市新家:大池
  1984年 シラサギ100-200羽【文献8】
  1987年 1982年位からコロニーを形成。ゴイサギ約50巣、コサギ7巣、アマサギ3巣【文献9】
  1996.6.12 池の周囲の樹にゴイサギ・コサギ・アマサギ・アオサギの巣が50-100巣程度【和田】
  1999.4.11 アオサギが営巣【博物館】
  1999.5.26 ゴイサギの巣多数、ダイサギ6-7巣、コサギ6-7巣、アオサギ約10巣【博物館】
●泉南市男里:サンエス温水プール東の小山
  1997年 アオサギが繁殖【個人情報】
  1998.5.30 アオサギが樹上にいるが巣は確認できず【和田】
  1999.4.23 アオサギ14巣【博物館】
●岬町淡輪:西陵古墳
  1999.6.30 アオサギ1巣(ヒナが2羽いる)【和田】