コケ植物は生育している場所によって,生育している種類がちがいます.生育している場所の環境を記録しておくとコケの名前調べにも役に立ちます.まずは,生育している環境の特徴から,絞り込んでみましょう.
生えている場所 水分環境 葉の先端 日当たり くきの様子  

何を見ればいいの?

生えている場所 コケのついているもの(地面や木など)のことを着生基物(ちゃくせいきぶつ)といいます.ここでは,下のようにわけています.
樹幹
(じゅかん)
木の幹,枝,切り株,根,丸太,朽ち木など
岩,石垣,石,コンクリートなど
砂,土,粘土,腐植土など
水分環境
乾燥 採集したコケは固く,パリパリとした感じになっている
湿っている 採集したコケはさわると,ふわっとした感じ
濡れている 採集したコケを絞ると水がしたたる,もしくは手がぬれる.
葉の先端 コケをルーペや虫眼鏡で見てみると,茎と葉の区別があるもの,区別がない葉状体(ようじょうたい)といわれるものに分けられます.葉の先っぽの様子は大きく分けて,尖るもの,丸いものに分けられます.よく観察してみましょう.
とがっている とがるものには,葉の先が毛のように尖るもの,キリ状にとがるもの,鈍く尖るものまで色々です.ここでは,これらを含めて尖るにしています.
丸い 葉の先が尖らず丸いものには,地面にべたっと張り付いている葉状体のものも含めています.茎と葉の区別があるものは木の幹につくことが多いです.

→ 葉の形と名前

日当たり
明るい 日光がいつも差し込む場所
日陰 木陰のような日光が直接差し込まないが,やや明るい場所
暗い 建物の陰のようなところで,昼間でも暗いような全く日光の届かない場所
くきの様子
立つ 茎と葉の区別があります.茎は地面や基物から立ち上がって生えます.集まって背のひくいコケがマットになっているようなものでは,パッと見た感じで,はっているように見えることがあります.つまんでよく観察してみてください.この図鑑のギンゴケやハリガネゴケを参考にしてください.
はう 地面や基物を茎が横方向にのびます.枝が立ち上がっていることがありますが,つまむとはっている茎が,ちょうど根っこのようにはがれます.この図鑑のコモチイトゴケやヒロハツヤゴケを参考にしてください.
葉状体
(ようじょうたい)
茎と葉の区別がありません.べちゃっとした厚ぼったい葉っぱのようなものが直接地面にはりつきます.この図鑑のゼニゴケを参考にしてください.