| コジュケイ | 第1展示室9 |
コジュケイはキジの仲間の鳥です。日本では、雪の多い東北地方や日本海沿岸を除く、本州、四国、九州、およびその周辺の島に一年中生息しています。ただしその姿を見る機会は少なく、ふつうは「チョットコイ、チョットコイ」と聞こえる大きな声で鳴くのを聞いて、その生息を確認することになります。
もともとは中国南部や台湾に分布する鳥で、1915年に東京で2つがいが逃げだしたのが日本に持ち込まれた最初だと言います。1919年以降は、東京をはじめ各地で狩猟鳥として盛んに放され、日本全国に定着しました。日本以外では、ハワイにも持ち込まれて定着しています。
同じ帰化生物といっても、船などに乗って人間が気がつかない内に日本にやってきた場合(たとえばセアカゴケグモ)、あるいは飼っていた家畜やペットが逃げ出して日本に定着した場合(たとえば関東のワカケホンセイインコ)などとは違って、一部の人間が自分の利益のために日本に放すことによって日本に定着した生物です。その意味では、一部の釣り人が勝手にあちこちの湖沼に放して、日本の池や湖にもともと生息していた生物に大打撃を与えているブラックバスと同じような過程で帰化したといえます。ただしブラックバスとは違い、コジュケイはあまり他の日本の鳥に迷惑はかけていないようです。
現在では低山や丘陵の林、人家や耕作地の近くの薮、都市部の公園にも生息しています。数年前までは長居植物園にも生息していて、ヒナをつれた姿を見ることもあったのですが、現在は生息していないようです。草や竹林が刈られることによって、身を隠すことのできる薮のようなものがなくなったことが原因の一つだと思われます。