■水質班の活動


水質班がどのような調査・活動をしているのか紹介します.

水質班の活動

フィールドでの記録・採水 水質班が実際に行っているフィールド調査や採水方法の紹介です.
  ※水質調査持ち物リスト
 1.採水地点の決定
 2.採水
 3.透明度調査
 4.pH測定
 5.けんだく物調査

  ※サンプル番号の付け方
 6.採集した水およびフィルターサンプルの保存 
 7.サンプル・記録カードの回収
 8.ポリびん・消耗品の配付

  ※採水・フィールドデータ収集に関する注意事項

室内分析 水質班が室内で行っている室内分析の紹介です.大阪市立大学でこれらの分析は行っています.
 1.アルカリ度の滴定
 2.原子吸光分析
 3.イオン・クロマトグラフ



■水質班の活動

 ●年に4回(2月,5月,8月,11月),採水と簡単な水質検査や勉強会をみんなでいっせいにおこないます.採水は2002年11月から2004年8月まで行い,一旦終了しました.次回は2005年8月に採水を予定しています.
 ●採水の1週間程度後には,詳しい水質分析や水についての勉強会をする日をもうけます.博物館か大阪市大で行います.
 ●分析の結果や今後の予定については3ヶ月ごとにニュースレターを発行し連絡します.さらに成果がまとまれば,Nature Studyなどで成果を公表していきます.
 ●2006年に大阪市立自然史博物館で予定されている大和川水系に関する特別展までに,大和川の水質の概要を明らかにするのが目標です.



■フィールドでの記録・採水マニュアル
 水質班が野外で収集するデータとその収集方法について説明します.

※水質調査持ち物リスト
【配布する調査キット】水温計,ピンセット,注射器50ml,注射器20ml,フィルターホルダー(パッキン付),ポリびん,ポリビーカー,ガラス管,フィルター,チャック袋,pH試験紙,
 透明度・けんだく物色度表(PDFファイルで示します.実際のものと色調などが異なる場合があります)
 記録カード(PDFファイルで示します)
【各自で用意する物】筆記具,黒マジック,小さなバケツ,ロープ,ものさし(30cm以上のものが望ましい)またはメジャー,調査地域の地図のコピー(できれば国土地理院発行の1/2.5万のもの,なければ道路地図などでよい),調査マニュアル

1.採水地点の決定
 担当者が分担されている地域内である採水地点の間隔が開くように場所を決める.場所を決めたら地図で採水場所を確認し,地図に番号を書く(1,2,3・・・).日時,調査者氏名,調査場所(住所),川の名前,天気,気温,底質,周りの土地利用,周囲の状況などを記録カードに従って記入する.
 ◎調査・採水場所は,一度決めたらできるだけ同じ場所で採水するようにしてください.各採水場所ごとに調査カードはそれぞれ1枚づつ使用してください.

2.採水
 河床に降りて,バケツで採水する.河床に降りることができない場合はバケツにロープをくくりつけて,橋の上から採水する.川底の砂・泥・ヘドロなどをいっしょに採らないように注意する.流れの止まったところではなく,できるだけ流れているところの水を採る.採水は川(流れ)の中心部が望ましい.事故に十分注意して採水すること.採水後,すぐに水温を測って記録カードに記入する.

3.透明度調査
 3-1.ポリビーカーを使って,ガラス管に水をいっぱいに入れる.
 3-2.透明度・けんだく物色度表の「幅0.5mmの線,1mm間隔」の二重十字線の上に置き,ガラス管の上からのぞく.
 3-3.二重線の交差している部分がはっきりと見える場合は3-4へ,見えない場合は3-5へ.
 3-4.「幅0.3mmの線,0.5mm間隔」の二重十字線の上に置く.それでもはっきり見える場合は「幅0.1mmの線,0.3mm間隔」の二重十字線の上に置く.
 3-5.ガラス管内の水の量を少しずつ減らしていって,はっきり見えたところでやめる.その水の高さを物差しまたはメジャーでガラス管の底から測り,その結果を記録カードに記入する.

4.pH測定
 4-1.川の水にpH試験紙の先を浸し,とりあげてすぐ,透明度・けんだく物色度表にある標準色列表と見比べる.
 4-2.書かれているpH値を記録カードに記入する.標準色列表から色がはずれている場合,大きい側にずれているか,小さい側にずれているかを記入する.

5.けんだく物調査
 5-1.フィルターホルダーにフィルターを入れる.パッキンがちゃんと入っているか,フィルターがきっちり入っているかを注意する.
 5-2.50ml注射器に水を入れ,50ml全部をフィルターを通して濾過(ろか)する.濾過した水はポリびんに採る.注射器が固くて50ml濾過できない場合は,20ml注射器に水を入れ,20ml全部をフィルターを通して濾過(ろか)する.濾過した水はポリびんに採る.
 水はかならず50ml採取してください.不足すると分析ができません.50ml注射器なら2回,20mlなら5回,濾紙を交換して採水してください.
 5-3.ホルダーからピンセットを使ってフィルターを取り出し,チャック袋に入れる.
 5-4.フィルターの色を透明度・けんだく物色度表にあるけんだく物色度表と比べて,記録カードに記入する.
 5-5.5-1から5-3を繰り返し,ポリびんいっぱいに水を採集する.
 5-6.フィルターを入れたチャック袋とポリびんにマジックでサンプル番号を書く.同じ番号は記録カードにも書く.

※サンプル番号の付け方
 サンプル番号は各採水場所に決められた番号をふる.番号は全5桁.1万の位が第何回の採水であるか(第3回目の採水期間なら3),1000・100の位が川の番号(川の番号についてはこちら),10・1の位が各試料の番号になっており,それぞれ下流側から番号がふられている.この試料番号は整理の都合上,非常に大事なものなので,できるだけ自分のサンプルにどの番号が付いているかをチェックすること.
 新規の場所の場合には日付・採集者名・場所番号の順でサンプル番号を記す.例えば,2002年11月3日に中条が1番の場所で採水すれば,021103 中条 ?@ と記す.

6.採集した水およびフィルターサンプルの保存
 ●フィルター:冷凍庫に入れて保存する.
 ●水:冷蔵庫に入れて保存する.

7.サンプル・記録カードの回収
 採集した水・フィルターおよび記録カード・地図は回収して,分析に使います.採水期間最終日から一週間以内に,以下の方法で博物館の中条もしくは大阪市大の益田まで届くようにしてください.フィルターで濾過した水は一般水質分析に用います.またフィルターはクロロフィルの分析に使います.これらの分析は基本的に大阪市大の益田研究室で行いますが,いくつかの成分については,みんなで分析します.

 7-1.博物館に直接持ってくる.第四紀研究室の中条まで.不在の場合は第四紀研究室の他の者に渡してください.大阪市大理学部益田研究室でも可.
 7-2.水を分析をする日に持ってくる.採水期間の最終日〜1週間以内に博物館か大阪市大で,水の分析をする日を設定します.その日に直接持ってきてください.
 7-3.宅急便で送る.できればクール宅急便で,博物館の中条宛まで送って下さい.

8.ポリびん・消耗品の配付
 フィルターなどの消耗品,濾過した水を集めるポリびんは採水ごとに必要になってきます.これらは,以下の方法で配付します.ただし,できるだけ1,2の方法でお願いします.

 8-1.行事の時に配る.
 水質班が行う大和川に関する自然観察会や室内行事の際に配付します.
 8-2.博物館に取りに来る.
 博物館に来る用事がある人は,第四紀研究室の中条までその旨申し出てください.中条が不在の場合には,他の第四紀研究室の者にお伝えください.大阪市大理学部益田研究室でも可.
 8-3.郵送する.
 どうしても博物館まで来ることができない,行事に参加することのできない方には郵送します.ただし,必ず採水期間1週間前までに,博物館の中条までメール,Fax,郵便でお知らせください.


※採水・フィールドデータ収集に関する注意事項
 ◎採水はできれば雨の日・その翌日はやめてください(雨量にもよります).水が濁っています.雨の日から2日後以降に採水してください.
 ◎くれぐれも水の事故がないように注意してください.特に雨の後などの増水時には川に近づかないようにしてください.
 ◎事故やトラブルのもととなりますので,柵がしてあるところなど,河床に降りられない場所に無理に降りないようにしてください.また,断りなく個人敷地内へ入ることがないように注意してください.
 ◎周辺住民などとトラブルなど起きないように注意してください.住民の方々や警察などから何をしているのか聞かれた場合,大阪市立自然史博物館の自然環境調査で水を調べている旨を伝えてください.それでもクレームがでるようでしたら,博物館の連絡先を教えてください.
 ◎調査キット・消耗品は非常に高価な物です.なくしたり,壊したりしないように注意してください.特にガラス製品の取り扱いには注意してください.
 ◎採水は必ず指定した期間中に行ってください.ニュースレターにおいて採水期間を連絡します.必ずその期間中に採水してください.また,採集した水は採水期間最終日から1週間以内に必ず博物館まで持ってくるようにしてください.もし都合で採水できない場合には,必ず事前に博物館の中条まで連絡してください.
 ◎都合により今後継続的に採水できなくなった場合は,できるだけ早く中条まで連絡してください.その際は調査キットは返却してください.



■室内分析

1.アルカリ度の滴定
 水試料50mlをホールピペットまたはメスシリンダーで正確に分取し,300ml三角フラスコにいれる.BCG-MR指示薬を2〜3滴加える.ビュレットを用いて0.02M HClを水試料が灰紫色になるまで滴下する.下の計算式を用いてアルカリ度を求める(aは滴下量(ml)).

Alk (mmol/l) = 0.02×a×20


2.原子吸光分析


3.イオン・クロマトグラフ


<<このページのトップに戻る

<<もどる