シロチドリ 第1展示室9

 シロチドリはユ−ラシア大陸からアフリカ大陸北部や、北アメリカ大陸の西・南岸部、南アメリカ大陸西岸部に広く分布するチドリです。日本では全国の海に近い水辺で、ほぼ一年中見られます。

 チドリの仲間は数歩歩いては、たちどまって地面をつつくという行動をくり返して、食物をとります。食物はゴカイやカニ、昆虫、クモなどです。酒によっぱらって、フラフラと歩いている様子を千鳥足といいますが、チドリは決してフラフラと歩いているわけではありません。

 シロチドリは河川敷や海岸、埋立地などのひらけた地上に浅い穴を掘り、まわりの地面とあまり区別がつかないような巣を造って繁殖します。繁殖期は4月から7月くらいで、ふつう3個の卵をうみます。卵はウズラの卵と同じ大きさで、模様もよく似ています。

卵は約24日でかえります。ヒナはかえった時にはすでに羽毛がはえていて、しばらくするともう歩くこともできます。羽毛がはえているとは言っても、まだ翼の羽根や尾羽ははえてなくて、全身ふわふわとしたやわらかい羽毛でおおわれています。しかし足だけは一人前に大きく、丸い毛玉に大きな足がはえたような姿です。このようなヒナが走りまわる姿は、たいへんほほえましいものです。

近畿地方で繁殖するチドリには、コチドリ、イカルチドリ、シロチドリ、ケリの4種がいます。ほかの3種が比較的内陸で繁殖するのに対して、シロチドリは海岸近くで繁殖します。近年海岸部の開発が進むにつれ、シロチドリの繁殖できる環境が急速に減少しており、同じような環境で繁殖するコアジサシとともにその繁殖個体数の減少が心配されます。