
くりかえし訪れた氷期のうち、最終氷期(ウルム氷期)には、ユーラシア大陸や北米大陸の北部は、厚さ3000mをこす氷床におおわれた。日本列島でも日高山脈や日本アルプスに山岳氷河ができ、氷触圏谷(カール)とよばれる地形が残された。
海面から蒸発した水が、氷となって陸地にとどめられたため、海面は100m以上も低くなり、浅い海峡はひあがって島や半島と陸続きとなった。この陸橋は、寒さからのがれるため南へ移動する動植物の通り道となり、マンモスゾウやヘラジカなどが日本列島に渡ってきた。
●ウルム氷期の植生
約2万年前の最寒冷期には、近畿地方の年平均気温は現在より7℃近くも低く、現在の東北地方くらいの寒さだったと推定される。
日本海には対馬暖流が流れ込めず、海水の温度が下がったため、冬の雪は現在の半分ほどにまで少なくなっていたという。しかも寒冷気団の勢いが強かったため、紀伊半島や四国、九州南部をのぞけば、夏でも雨は少なかった。そのため大阪平野は、ナラ類やシラカバと針葉樹がまざりあった、まばらな林におおわれていた。
●マンモスゾウ
更新世後期に、ヨーロッパからシベリア・中国北部などの寒い地域にすんでいたゾウで、厚い毛におおわれていた。シベリアでは、数千年前まで生きのこっていた。日本でも北海道で臼歯の化石がみつかっている。
●ナウマンゾウ
日本を代表する化石象である。更新世中期と後期にすんでいて、約2万年前に絶滅した。北海道から九州までたくさんの化石がみつかっている。氷期の寒さに適応して、長い毛がはえていたと考えられている。
●毛サイ
全身に長い毛がはえていたサイ、マンモスといっしょに、氷河時代の寒さにたえて、シベリアやヨーロッパ北部、中国東北部にたくさんすんでいた。サイの角は、ひふの変化したものなのでくさりやすく、ふつうは化石として残ることはない。しかしシベリアでは冷凍の毛サイが発見されていて、そのような場合には、角も保存されている。