第2展示室 > 大阪平野のおいたち
A.ビルの下にねむるクジラ


大阪では、ビル建設や地下鉄工事などの現場で、地下深くから、たくさんの海の貝やカニ、ウニなどの化石がみつかる。これらは、いまから数千年前、海が生駒山のふもとまで広がっていたころにすんでいた動物の化石である。なかには、いまでは大阪湾にいない種類や、すでに絶滅した種類も見られる。ときには、巨大なクジラの骨が見つかって、工事の人たちを、おどろかすことがある。
いまでは大阪湾をはじめ瀬戸内海で、大型のクジラを見ることはほとんどない。岸近くまでやってきて、しおを吹きあげる巨大なクジラを見て、私たちの祖先はどう思ったことだろう。


●ナガスクジラ類の下顎骨(下あごの骨)

産地:大阪市鶴見区諸口6丁目、城東配水場
時代:完新世(難波累層)
この標本は、大阪の地下でみつかったクジラの化石の中では最大のものである。生きていたときの体長は、20mくらいと推定される。約6000年前に堆積した地層から掘り出された。そのころ現在の鶴見区は、河内湾のちょうどまん中あたりだった。ナガスクジラ類はヒゲクジラのなかまでなので、この骨には、歯がはえていない。